11
カーテンの隙間から入り込む陽の光に眩しくて目を開けた。
「あさ?」
天井が違う。あ、そうか宿に泊まったんだった。昨夜は、、、
あれは夢か?現実だっけ?
「お目覚めですか?」
ドアの方からライが入ってきたところだった。
「おはようございます。朝食に行きましょうか。傷は痛みますか?」
朝から爽やかなやつめ。昨日からだけど、王国騎士団の服着てないから新鮮だ。
傷?
「きず?あ〜そーだった。大丈夫大丈夫。
ただの擦り傷だよ。」
昨日襲われたんだったよ。忘れてた。
ヒラヒラ両手を振って見せる。
ライが片眉を上げる。
「忘れてましたね?どーいう神経してんですか。だから貴方は!こうやってまた危ないことを繰り返すんでしょうね。だから…」
「ストーップ‼分かりました。スミマセンスミマセン!反省してますっ。」
黙っていたら長くなる。腹の虫も思い出したかのように鳴き始めた。
「朝ごはん食べよ。着替える。」
「廊下でお待ちしてます。」
ライが出ていってから着替える。目の前の小さな鏡で確認すると両手、両足、腹にも擦り傷が無数にある。お兄様にバレたら大変だ。長袖で隠せる範囲でよかった。
しかし、あのライの態度からすると昨夜のは夢か。安堵の息を吐く。
「ん?首もと虫に刺されたかな?痒くないしいっか。」
赤い痕。虫刺されにしては腫れてない。
朝食を食べたら城に強制送還だな。
とんでもなく短い逃避行だった。
溜息を吐きつつライが待つ廊下へと、ドアを開けた。