表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

「いいかい?サラ。君にとっておきの秘密を教えてあげよう。可愛い可愛いサラー

君はー」

「…ま、サラさま。」

眼を開けると天井、ではなくライ。この男どの角度から見ても完璧だな。憎たらしい。

「汗だくですよ。嫌な夢でもみましたか。」

ライが額に張り付いた髪を流してくれる。

確かに全身汗だくだ。昨日はあのまま宿に泊まって寝たはず。ライは寝るまでと、そばにいてくれた。いつのまにか眠っていたらしい。今は何時だ?

「もう明け方です。」

身を起こすと背中を支え、察したように教えてくれる。

「ずっといてくれたんだな、ありがとう。

ライは優しい。汗だくじゃなかったら抱きつくんだけど。」

「…貴女、おかしいですよ。どうしたんです。」

夢ー、か。

あれは…。

「風呂入ってくる。たしか夜じゅう空いてるっていってたよな?」

ベッドから立ち上がり風呂の準備をする。こういう宿屋は有難い。

「サラさま。」

不意にライに右手を掴まれた。

「汗だくでも気にしません。抱きついて下さいよ。」

言うより早く抱きしめられる。

「え…」

「俺に隠し事はしないで下さい。いいですね?俺は、貴女が望むなら何だって叶えて差し上げます。」

ちょっ…耳元は反則‼

身体がゾクゾクする。

「わ、分かったから!ほら風呂行ってくる!」

ライの腕の中でもがくがビクともしない。


「またからかって!」

「本気ですよ。」

腕が緩まるとライが私の唇を親指でなぞる。

「お風呂、場所分かりますね?」

無言で頷くしかできなかった。


宿は静かだ。私もなるべく静かに階段を降りる。

こんな時にドキドキしてる場合じゃない。

兄上はどうなった。本当に死んだとは思えない。

何が起きてるんだ。

でもあのライの態度、何か知っている?西に向かうのも理由があるのか。

「ー人には隠し事するなって言っておいて!」


あの夢は、思い出せそうで思い出せない。

ーすごく嫌な夢で、しかしすごく懐かしいような。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ