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疑惑
本当かな。
何度も呟いていたらしい。しかも寝ながら。
「貴女はすぐに声やら表情に出ますからね。
上に立つものとして如何なものかと。」
「ライこそこんな時も容赦ないよね。」
ジトッと恨めしい眼で睨みあげる。
それを見下ろしながらライはちょっと困った顔をした。
「申し訳ありません。こういう性格なもので。」
アル兄様は何故亡くなったのか、本当なのか。
「おかしいと思いませんか。」
ライが窓から外を見下ろす。急遽、近場の宿屋に入った。昼間から入れてありがたい。
「おかしい所だらけだよ。」
「国王陛下に私はサラさまを連れて旅に行くよう仰せつかりました。」
「本当に⁉」
「ええ。貴女が考えなしに飛び出した日に。」
皮肉たっぷりだ。
「今戻るのは危険ですね。」
「なんで?」
真実をこの目で確かめなければ。一刻も早く今は城に帰りたい。
「陛下の仰り方は、今となっては何か察知しておられたご様子。貴女を城に戻すなとも、仰せでした。」
兄様がそんなことを?私の婚姻まで進めていると言っていたのに。
「陛下が本当に崩御されたならば。」
ライが口許を手で覆い目を細める。
「暗殺の可能性が高い。」