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「ロマンチックじゃねえか~!姫様と騎士の禁断の愛!手に手を取り合って駆け落ち!」
くぅ~!興奮気味にリュウが力説する。そんなキャラだったっけか?
「ライは頼んでもそんなことしてくれないよ。忠誠心溢れる騎士団長さまですからね。」
ライは吹き出した直後もう冷静を装って茶を啜っている。
「…そーだよ!騎士団は?いいの⁉」
仮にも?騎士団をまとめる長だ。国はライに頼りすぎていると副団長が零していたぐらいだ。やばいよね。
「いいんですよ。私がいなくても回せる様になってもらわないと困ります。それに、これは国王の勅令ですから。」
兄様の?どういうことだ、そりゃ。
「勅令がなくてもあんたならどこまでもついて行くだろうよ。あんたの1番は騎士団の仕事じゃねえだろ。」
「そーなの?」
じゃあ1番は何だ?見上げるがライは無表情。
「で、どこへ行くんだい?」
「西へ。」
間髪入れずライが答える。オイオイ、いつ決まった?
「そーかい.気ぃつけな。国境付近は最近物騒だからな。まさか、国は出ないだろ?となりの、西隣のバルバンは今内紛寸前だってな。」
「ええ、気をつけます。さ、サラ様行きますよ。」
カップを置いてライが立ち上がる。
「ええっ⁉もう?せっかくリュウに会えたのに!話したいことがいっぱいあるんだって!」
抗議するが一瞥をくれるだけ。さっきからなんだよー。
「リュウ殿お世話になりました。城から誰が来ても我々が来たことは話さないで下さい。
手に手を取り合って逃げますので。」
「おう!任せとけ!姫さん、ライがいりゃ平気だろうが気をつけてな。大事なうちの国の唯一の姫様なんだから。アンタに何かありゃ兄上達が狂っちまう!」
「でしょうね。特に…は。」
最後が聞き取れなかったが、ライが深刻な顔をして言った。
「何?」
やっぱり応えてくれなかった。