表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

13

この町は静かだ。森に囲まれた穏やかな町。途中の山路はかなり物騒だが。

今歩いているメインストリートらしき通りでさえ人通りも多くない。

王都の隣町だけあって、旅人は多いのか見慣れないサラ達に不審な眼を向けることはなく気にも留めていない。

「この先ですね。」

ライが二股の道の右を指差して言った。

「よく知ってるね?」

「数回来ていますから。」

は?聞いてないぞ。私が料理長に会いたがっているのを知っているはずなのに、なんて男だ。

「そんな眼で見ないで下さいよ。言ったら連れてけだの連れていかなかっただの、煩いでしょ、貴方は。」

思考だだ漏れかい。悔しいな。

「足は?痛くないですか?」

「へーき。……リュウ!!!」

赤い屋根の家の前で何やら作業している恰幅のいい男が元料理長のリュウ。

料理長を辞めてから髭を生やしたらしい。

男はサラとリュウに気づくと持っていた鍬を落とした。

「は⁉サラさまっ…」

言って自身の手で口を覆い辺りをキョロキョロし、安堵の息を吐いた。

「どーしたんですかい?こんな所に何故姫さまがっ?」

ボテボテ走り寄ってきて声を落として問われる。懐かしいなぁ。この感じ。

「その姫が貴方に会いたい会いたい煩いものですから。お忍びでお連れしました。」

「、、、へぇ。ライがか?よく外に出るのを許可したもんだ。」

ライがサラを連れてきたことに心底驚いたらしい。

「リュウ!会いたかったよー!全然文もくれないんだもん!」

「さあさあ狭い家ですが入って下さいよ。姫さんのお好きなお茶いれましょう!」

2人を迎えいれてくれた家は物があまり無い慎ましい部屋だが、なんだか安心する家だ。

「1人暮らし?」

「ええ。妻は随分前に亡くなったしね、子供もいませんからね。」

暖かい茶が出された。昔から好きな甘いがスッキリとした後味のお茶だ。

「で、駆け落ちでもしてきたんですかい?」

ゴホッ!!!

家に招き入れられてから口を開かなかったライが豪快にむせた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ