表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユキチ冒険譚  作者: 霧島遠夜
1/7

プロローグ

拙い文章ですが、気軽にお楽しみくださると幸いです。

 白い。白い。

 すべてが白である雪原は、人の感覚を麻痺させる。方角も気温も。色彩も奥行きも。

 見渡す限りの雪原にぽつんと建つこの家と、その家主がなければ、あたしは何もかもを見失っていただろう。

 今朝、今年初めて雪が降った。この世界に来て3度目の冬が来たのだ。

 感慨深く景色を眺めていると、背中に温かなものがふれた。後ろからそっと抱きしめられたのだ。そのまま、ポツリとこぼされる。

「どこかに行っちゃ、だめだよ」

「あはは!もう、心配性だなぁ」

 お腹に回された腕に、自分の腕を絡める。大好きな大好きな、そして今は夫となった人の腕。

「そう、心配だ。マリーは雪と一緒に来たから、雪と一緒に消えちゃいそうだ。元の世界、えっとなんだっけ、ニホンとかいうところに」

「だいじょーぶ。そんなことできるなら、最初に帰ってたよ」


 大学1年の冬。スキーサークルで雪山へ行った。まぁよくある話で、突然の悪天候で遭難。そのまま意識を失い、次に目覚めたときには、この家で治癒魔法にて看病されていた。魔法のおかげで、すぐに異世界トリップしたのだと気づかされた。

 それから2年。はじめはひたすら帰りたかった。自分がこの世界に来た意味もわからないままで。辛くて辛くて毎日泣くじゃくるあたしを支えてくれたのは、この人だった。色々あって、そして恋をして……。

 今はとにかく、ここで彼とおだやかな生活をしていたい。


「さ、朝から惚気てないで、朝食にしましょ!」

 景気づけるように夫の肩を叩きながら、室内へ戻った。本格的に雪で閉ざされる前に、街へ買い出しに行かなくてはならない。

 手早く食べれるサンドイッチで朝食をとりながら、今日の予定を確認する。

 この世界の暮らしにもなれたもので、買わなくてはならない必需品を二人で上げていく。

 そうして食後のお茶を飲み、少し寛いだところで、突然部屋に冷気が吹き込んできた。

 来客には朝早いと思いながら夫と扉を見やる。


 雪まみれになりながら立っていたのは、あたしと同じ、この世界では珍しい黒目黒髪の女性だった。

 彼女は、安心させるようにぺこりとお辞儀した。長い黒髪が、さらりと舞う。


「お食事中ごめんなさい。はじめまして。マリー・クラウチさん……または倉内真理さんをお迎えに上がりました」

「あの……あなたは……」

「ああ、申し遅れました。わたしは異世界迷子係のフクザワ・ユキチです」


 彼女は名乗って、にこりと微笑んだ。そう笑うと、あたしと同じくらいの年齢なのに、大人っぽく、けれどどこか無邪気に見えて……とても綺麗だ。

 しかし名前がおかしくないか。もちろんあたしだって知っている誰もが欲しがるお金の名前。それも、元の世界の。

 混乱するあたしと、わけがわからない夫に向って、彼女はさらに笑みを深くする。


「真理さん。日本に帰りたいですか?」


まるで、帰れるとでもいうかのように。

ありがとうございました。まだプロローグすぎて、わけがわからないと思います。

倉内って友達がいたんですが、この名字って頑張れば外国の名字にも聞こえますよね。クラウチ。

かっこよいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ