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三題噺もどき5

今日の部活

作者: 狐彪
掲載日:2026/04/14

三題噺もどき―はっぴゃくごじゅうなな。

 




 足を引っかけないように、足元を見ながら階段を降りている。

 ふと、スカートの裾にごみがついているのが目に付いた。

 誰も昇ってこないだろうと勝手に決め、階段の半ばほどで立ち止まる。

 たいした塵ではない、軽く掃えば落ちるモノだった。

「……」

 払い落すのも何かと思い、指先でつまむ。……そろそろ爪切らないと。

 どこでついたのか、全く見覚えのない糸くずだった。

 あぁでも、家庭科の授業があったからその時にでもついてきたんだろうか。

 別に糸を使うような授業はしていないが。

「……」

 ま、そんなことはどうでもいい。

 一応摘まみ上げた糸くずをくるくると丸め指先で遊びながら、階段をまた降り始める。

 もう、放課後になっているので、昼休み以上に校舎内は騒がしい。

 外が雨のせいで、運動部が階段で部活を始めるのも時間の問題だろう。こんな所で立ち止まっていると邪魔そうな目で見られる。こちらからしたら邪魔なのはあちらなのだけど。

「……」

 残り数段ほどの階段を降りきり、左に曲がる。

 去年はクラスが下の階だったので、渡り廊下を進むだけで済んだのだけど、今年から1つ上の階になったものだから、階段を降りる必要性が出てきたのだ。

 別にいいのだけど、無駄な体力を使うのは好きではない。

 昇るよりはマシか。

「……」

 用があるのは、理科室である。

 異動があるかもしれないと言っていた顧問だったが、今年も変わらずいてくれるそうで。

 理科室の教師として教鞭をふるいつつ、写真部の顧問としてまたお世話になることになった。残念ながら、3年生の教科担は違うので教師としての先生を見ることは叶わないのだが、顧問としていい先生であることは変わりない。

「……」

 理科室の後ろの扉を開き、教室へと入る。

 既に誰かいるかと思ったが、誰もいなかった。

 しんとした、静かでどこか冷たい空気が漂っている。

 外が雨のせいで寒さすら感じられる。

「……、」

 後ろ手に扉を閉めながら、すんと、鼻を鳴らす。

 何気に、こういう特別教室の空気とか好きなんだよなぁ。

 理科室は特に、たまに薬品の匂いとか、オイルっぽい匂いとか、日常では出会うことのなさそうな匂いがして。

「……」

 背負っていたリュックを机の上に置き、片手に持っていた鞄も隣に置く。いつの間にか指先で遊んでいた糸くずがなくなっているんだけど……どこで落としたかな。

「……」

 まぁ、いいか。今日の部活は何をするんだったか……そろそろ部活動紹介の時期だからそれの話だったきがするが。

 でもそれは部長と副部長でするって言ってたし、なんか写真だけでも出せとは言われてたけれど、それもそんなに枚数出せるわけでもなし。個人的に気に入っている向日葵の写真……いやあれはだめだな。あの子は、他にはあげられない。桜の写真でも出しておこうかな。

「……」

 電気をつけるためと、顧問に声を掛けるために、教壇の方へと向かう。

 黒板の横に電気のスイッチがあり、その横にある開けっ放しの扉から隣の準備室へと繋がっている。

 あまり明るいのは好きではないので、1つだけ電気をつけて置く。他の部員が来たら勝手につけるからいいだろう。

「……先生―」

 扉を2回、ノックしながら。顔をのぞかせる。

 一応、担任のクラスを持っているので、常にここに居るわけではない。放課後となればまだ教室にいる可能性だってある。

 が。

「お、」

「あ、」

 片手にえんぴつをもって、何かをしていたようだ。

 もう片方の手には紙の束を持っているから、何か授業の準備とかだろうか。

「もうきたの」

「え、来ない方がよかったですか」

「そういうわけじゃないよ」

 そんな冗談を言いつつ、軽い雑談をする。

 こういうのに相手をしてくれるから、この先生はいい人だと勝手に思っている。教師だから相手してるだけだろうけど。

「今日は何をするんだったっけ?」

「部活動紹介のどうのこうのって言ってた気がしますけど」

「あぁ、そうだっけ。」

 この写真部は、部長と副部長が毎年しっかりしているらしく、その辺全部任せているらしい。顧問もある程度把握しているらしいが、大抵は任せっぱなしだと言う。大会とかになれば話は別だけど。去年もそうだった。

「まぁ、あの子達に任せておけばいいか」

「先生もなんかしますか」

「なにをするのよ「おはよ~!!」

 元気な声が教室に響く。

 他の部員がぞろぞろと来だした。

 今日の部活も楽しいことになりそうだ。










 お題:えんぴつ・スカート・向日葵

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