90話 登校準備
テオが持ってきたメモに俺は目を通す。
「何のメモだ?」
ソレイユが内容を見ようと、俺の方に手を乗せ、覗き込む。
そのメモには、”明日 11時魔法学校校長室へ”とだけ書いていた。
「魔法学校?」
「え!ライト学校に来るのか!」
「明日、私達が案内してあげるよ!」
そういえば、この双子は魔法学校に通っていた。
「魔法学校って、ソルさんとリンさんが通ってるところなんですか?」
「この辺で魔法学校って言ったら、トヤヘリノの南の魔法学校しかないよ。」
「そうなんですか?」
「あと、リョウエンってところにもあるらしぞ。行ったことはないけどな。」
「リョウエン?」
「トヤヘリノと同じく人族が中心の地域よ。そこにもいくつか国があるらしいけど、かなり遠いし任務でも行ったことがないわ。」
ソルもリンもリョウエンというところには行ったことがないようだ。
やはり、この魔法学校というのはトヤヘリノにあるもので間違いないようだ。
「呼ばれているのはライトだけということは俺達は留守番ですかね?」
「え、そうなの?」
ウィルとメグは肩を落とす。
「ついて行ってみて、ダメって言われたら戻ってきたら〜?」
「おぉ!いいな!それで行こうぜ!」
「でも11時じゃ、私達授業中だよ。」
「本当だ!…抜け出すしかないか。」
「三人のクラスなのに、一人でも抜けたら先生可愛そうじゃん。」
「明日の11時ってあいつの授業だろ?面白くないからいいんだよ。」
あれ、この会話を俺は何処かで聞いたことがある。
そうだ、紫の魔導書のときに見えた会話と似ている。
俺達はその後も話し合い、明日のことが決まった。
俺、ウィル、メグは三人で校長室まで行くこと。
ソレイユ、リュンヌはあとから合流するということ。
カレンはニーニャ、テオと城で待機するということ。
そういえばクロムも魔法学校に行きたいと前に言っていた。
「クロムさんは連れてっちゃダメですかね?」
「クロム様?たしか、四カ国交流会議じゃない?」
「じゃあ、厳しいな。」
「そうですか。」
「急にクロム様を連れて行こうって、何かあるのか?」
「前に話したときに魔法学校に行きたいと言っていたので。」
「なるほど。じゃあ、会議が終わったら来てもらおうよ!」
「おぉ!それで行こう!」
本当に大丈夫なのだろうか。
少し心配になってきたが、魔法学校のことやクロムのことは俺より彼らのほうが知っている。
それに、ソレイユとリュンヌはこの国の防衛隊の隊長を担っている。
いざとなれば、頼りになるということは短い時間でわかったことだ。




