78話 図書室探索
「何があったのかは大体わかりました。では魔導書を探しましょう。」
ニーニャは、図書室をぐるりと見回して何が起こったのかがなんとなく読み取れたようだ。
メグがはな魔法の派生魔法をいくつか練習していたのは俺も知っていた。
多分練習中の氷魔法が上手くいかなかったのだろう。
「魔力探知で探しているんですが、他にも魔力量が多いものがたくさんあって、場所がなかなか絞れないんです。」
「私も、大体このあたりなんだけどな。」
「確かに、この部屋は魔力の情報量が多いな。」
ウィルとリュンヌが探しているところにザックが顔を出す。
図書室にもともといた特別隊のみんなが武器を構える。
その状況を見てクイードがくすっと笑う。
「ザック、お前めちゃめちゃ嫌われてるじゃん!」
「前に敵対してしまったからな。仕方ないさ。
もし、やろうって言うなら、いつでも相手してやるぞ。」
「やめなさい。」
ニーニャがウィルとザックの間に入り、ウィルの剣を下ろさせる。
「ニーニャ、お前どっちの味方なんや。」
「僕は君たちの味方ですよ、テオ。僕は仲間に傷ついてほしくないんです。
今するべきことは、魔導書を探すことであって、ザックと戦うことではありません。」
「わかってるじゃんニーニャ。」
ザックはニッと歯を見せる。
ニーニャの言葉に納得したのか、みんな武器を下ろしていた。
「猫ちゃん、好かれちゃったんだね。」
「猫ちゃんなんて歳じゃないですよ。」
クイードがニーニャにどんどん近づいていき、ニーニャの前でピタリと止まる。
ニーニャがなにかに気づいたのか、目を少し大きく見開いた。
「あなた、もしかして…。」
ニーニャが何かを言いかけたが、きゅっと口を閉じてしまった。
「何?そんなことより、魔導書この真下じゃない?」
「え。」
みんなが声を揃える。
この真下にあるなんて、どうしてわかったのだろうか。
ザックや、ウィルが言うにはこの部屋は魔力の情報が多くて場所が絞れないそうだが。
「少年。この下何か無いの。」
「え、俺?」
「お前空間魔法見えてるんだろ。」
忘れていたが、俺のこの能力はザックにバレているんだった。
そして、彼が今ここで口にしたことでクイードにも情報が透けてしまった。
「いや、それらしいものは何も見えないよ。でも俺は透視ができるわけじゃないから、一度掘ってみないとなんとも言えない。」
「掘ってみればいいんだね。」
クイードの鱗が生えた尻尾のようなものが床を叩きつけて、ヒビを入れる。
「ほら、見てないで手伝ってよ。」
クイードに呼びかけられ、みんなで床を掘り始める。
「ここ二階やろ。あんまり掘ったら、一階に落ちてまうんちゃうか?」
「たしかにそうだな。心配になってきたぞ。」
石のような硬い素材でできている屋敷は、素手で簡単に掘れるわけもなく、クイードが掘った破片を避けることしか俺にはできなかった。
しばらくすると、クイードがなにか見つけたようで掘った穴の底から跳び上がってきた。




