表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元の世界に帰るために本探してみた!  作者: 紅葉
第四章  音の調べ
73/107

72話 タイムリミット

ザックが俺に何かを突き刺してきたが、それが俺に届く前にニーニャが俺を抱えて、大きく後ろに下がる。

俺は驚いて、体の力が抜けてしまった。

ニーニャに抱えられ足をぷらぷらとさせていたが、そんなことをしている場合ではない。

ザックの手に握られていたのは、何かの液体が入った注射器だった。



「あれ…。」

「それ、何ですか?」

「ん?あぁこれのことね。新しいものを試してみたくて。」


「ニーニャさん。」



俺は小さな声でニーニャに話しかける。



「あの注射器の中身、多分前にソルさんにかけられた呪いの元だと思います。」

「わかりました。」



ニーニャはそう言うと、俺を下ろしてズボンのベルトについているキーホルダーを外す。

すると、キーホルダーは何倍も大きくなり、二メートルくらいの長さになった。

これは…、如意棒だろうか。

紫色の本体に金色の月の装飾、マイクの持ちてくらいの太さで、真ん中には三つのボタンがついていた。



「ライトさん、下がっていてください。ここは僕が引き受けます。」

「ニーニャさん…、気をつけてください。」



俺は助けを呼ぶためにその場を離れ、下の階におりた。



「あんなやつ、逃がしたってすぐに死んじゃいそう。でも、彼のあの能力は気になるね。」

「ライトさんは、この世界を変えてくれる気がするんです。実際、ライトさんが東の国に来てから、たくさんの魔導書の情報が出てきました。偶然ではないと思うんです。」

「確かに、紫の魔導書の情報が出てから、ここの黄色の魔導書の情報が出るまでのスパンが短かったのは事実だね。でも、それを証明する証拠が、まだ少ないんじゃないかな。」

「あなたの言うとおりです。証拠はまだまだ足りていませんし、彼が世界を変えてくれるというのは僕の考えに過ぎません。」



ザックは腰の剣を抜く。



「僕と一緒に彼にかけてみませんか?僕の大切な人にはあまり時間が残されていません。あなたと同じように。」

「君のようなきれいな子は斬りたくないんだけど。」



ザックは剣を強く握り、ニーニャに斬りかかる。

ニーニャは如意棒を床に突きつけ、飛躍する。

ニーニャはザックの上を通り、背後を取るとザックの脛のあたりを薙ぎ払う。

ザックは跳んで避けると、ニーニャの方を見る。



「君、バフかけれるの!」

「それが何ですか?」

「魔法学校にどれくらい通っていたのかな。」

「僕は学校には一度も通っていません。全てダイヤに教えてもらったものです。」

「ダイヤ…あぁ、そうか。」



ザックはそう言うとニーニャに次々と斬りかかる。

ニーニャは如意棒で振り払うが、どんどん押されていってしまう。

カンカンという金属音が三階に鳴り響く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ