70話 きょうりょく(?)
「で、急に捜査に加わりたいって…何企んでんの?」
「ハニス様に進められたから、行ってみようかなと思って。」
ザックとマスクの人が話している。
マスクの人の声はノイズがかかったようにザラザラと低い声だが、話し方は若い青年のようだ。
「で、今日はどこを探すんだい?」
「一階はひと通り見たから、二階だな。」
「OK!でも、ザック本当にちゃんと探したのか〜?」
階段を上がりかけていたザックの足がピタリと止まり、マスクの男の方を見る。
「俺、一階探そ〜!」
「おい、待て。」
ザックはハァとため息を付くと、もう一度口を開く。
「一六時には、この正面玄関に戻ってこいよ!」
「わかった!」
マスクの男はタッタと走っていった。
「あれ、なんか足音近づいてきてへん?」
「足音が軽いな、カレンかメグかな。」
「俺の魔力探知範囲内に入りました。魔力量的には、リンさんに近いですけど。」
「リンはこんなに軽く走れねぇよ。それに…」
ソレイユがなにか言おうとウィルの方を振り返った時、立ち止まったソレイユにウィルがぶつかる。
さっきのマスクの男がウィルの後ろにいたのだ。
「わ、人がいる。君たちも魔導書探しに来たのかな?」
「せやで、アンタもやろ。俺達の邪魔しに来たんか?」
「なるほど、それもできたね。でも、俺はそんなことしないよ。一緒に探そう。」
「俺は、お前のことが信用できねぇ。」
「そうだよね、俺のことは信用できないよね。」
マスクの男はしょんぼりとしてしまった。
ソレイユは少し俯いてしまったマスクの男に声を掛ける。
「ま、まぁ名前教えてくれるなら、一緒に探してやらないこともない。」
「え。」
ウィルとテオは驚いたようにソレイユの方を見る。
マスクの男はパッと顔を上げる。
「名前、俺はクイード・ハイルス。君たちは?」
「俺はソレイユ・ボルテナージ。」
「ウィル・ライクロー。」
「…、テオ。」
「OK〜。ソレイユ、ウィル、テオね。」
一人ずつ顔を見てクイードが確認をする。
「そうだ。じゃあ、早く魔導書探すぞ。俺等今日中に見つけたいからな。」
「東の国の人はせっかちなんだね。」
「せっかちというか、何度も同じ場所に来て同じ事するのが嫌というか…。
まぁ、正直。今、お前達が来てちょっと焦ってるというか。」
ソレイユはクイードと話しながら廊下の壁や床、置物の付近を探す。
「焦る?取られちゃうかもってこと?」
「そう。そっちの国のハニス様に魔導書取られたくないんだよ。」
「ふーん。」
クイードは少し考えてから、もう一度口を開く。
「それ、多分君等勘違いしてるんじゃないかな。」




