68話 黄色探し開始
翌日、魔導書捜索特別班の任務で東の国、テイラー邸に来た。
東の国の建物は東の城と同じように白い壁に翡翠色の屋根だが、この屋敷は他と違い緑色だ。
「でかい屋敷だな。」
「テイラー家は昔から権力を持っている貴族ですからね。」
「リリィさんの情報によると魔導書探している他の団体もおるかも知れへんから、気ぃつけて行こか。」
特別班の八人で屋敷の中に入る。
中は思った以上に豪華で、高そうな絵や骨董品のようなものが廊下にずらりと飾ってある。
三階建ての中庭を囲むような円形のこの城は、黄色の魔導書を持っているらしい。
「手分けして探しましょうか。今のところ僕達以外の団体はいなさそうですね。」
「んじゃ、俺とソルとウィルで一階探そか。」
「それなら〜、カレンとリンとメグで二階探すね〜。」
「それでは、僕とライトさんで三階を探しましょう。各グループ少なくとも一人は連絡用の水晶を持っていますね。」
水晶を持っているだろう、ソレイユ、リュンヌ、テオが頷く。
「では捜索を始めましょう。無理はしないように。」
ニーニャがそう言うと、先ほど別れたグループでそれぞれ魔導書探しを始めた。
「初めてこの屋敷に入ったぜ!ぐるっと一周回るの誰が一番早いか競争しようぜ!」
「ソル、走ったらアカンで。ちゃんと探そ。」
「それにもし競争したとしても、ソルさんが一番ですよ。」
「リンさん、カレンさんよろしくお願いします!」
「メグちゃんよろしくね!練習の成果もここで発揮できればいいんだけど…。」
「え〜、何の練習してたの〜?」
この世界や、東の国の防衛隊の人にはだいぶ慣れたが、まだこの世界に現実味が持てていない俺がいる。
「僕らも行きましょうか。」
「はい。よろしくお願いします!」
ニーニャと俺は三階まで階段を登り、壁や床、部屋の家具など隅々まで調べる。
床の絨毯や家具はどれも高価なものなのだろう。
物を動かす俺の手が震える。
「見当たりませんね。紫の魔導書を見つけたときは、どのようにして見つけたんですか?」
「ウィルの魔力探知で見つけました。でも、そのときは探知遮断魔法がかかっていたので、今回も設置型の魔法があるのかもしれません。」
「設置型の魔法ですか…。ではライトさんは設置型魔法の源も探してください。
リリィさんから聞いた話によると、この建物自体が魔導書を持っているということなので、空間魔法で隠されている可能性は十分にあります。」
「ですね。―――よし、探すぞ!」




