53話 青銀 西へ
その後色々雑談をして、俺達は解散した。
俺はウィルと一緒に食堂を出る。
「その資料そんなに欲しかったのか?」
「いや、特に欲しかったわけじゃないんだけど。何かもっと手がかりがあるんじゃないかと思って。」
「熱心だね。」
「俺、あの時何もできなかった。もし、俺がもう少し強かったら、ソルさんやテオさんは無傷だったかもしれない。もし、俺に勇気があればお前のように体が動いたかもしれない。」
「でも、俺知ってるよ。あの時ダイヤに連絡してくれたのウィルだよね。」
ウィルが俺の方を驚いたように見て、俺と目が合う。
「え、」
「ウィルのその冷静な判断力が無かったら、俺達は今頃どうなっていたか…。それにあの二人がやられちゃった時、俺とメグのこと守ろうとしてくれたじゃんか。ザックに立ち向かって。」
「お前そんなの見てたのか。」
「ウィルにはウィルのいいところがたくさんあるよ。」
「ありがとうな。そうだ、俺が改めて見たときに気になった情報があったんだよ。」
ウィルは資料をペラペラとめくって、俺に見せる。
「ザックが西の国軍に入った時って今から十五年前ってのは知ってると思うんだけど、」
「あぁ、テオさんが言ってたね。それで幹部ってすごいんだよね。」
「そうそう。それでザックが西軍に入ったのが、俺がこの城に来る三ヶ月前なんだよ。」
「それって何か関係があるの?」
「俺がこの城にきたのは、西の国で内戦があったかららしいんだ。で、その内戦が始まったのが俺が城にきた三ヶ月前らしい。」
「じゃあ、ザックと西の国の内戦…なにか関係があるかもしれないってこと?」
「うん。俺が城に来た時の状況もわかるかもと思って。」
「お兄さんのことも分かるかもね!」
ウィルはニッコリとして頷いた。
ウィルと別れて、稽古のために一度寮に戻っていた。
最近ウィルとの好感度が上がってきた気がする。
メグとも仲良くなりたいが、部隊が違うとこんなにも会えないものなのか。
そういえば四番隊は城内班と戦場班に別れてるらしいけど、メグはどっちなんだろうか。
考えながら歩いていると、中庭で水やりをするニーニャが目に入った。
野球場くらいの大きさの中庭には色とりどりの花が咲いている。




