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元の世界に帰るために本探してみた!  作者: 紅葉
第三章  それぞれの関係
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45話 誕生日の約束

俺とウィルはヴァイオレットたちと別れて、二人で隊員寮に戻っていた。


『ファミリーか。』


ウィルがそう言ってから少し元気がない。

やはりお兄さんのことを考えているようだ。


「ウィルのお兄さんってどんな人だったか覚えてる?」

「え、そうだな。あまりはっきりとは覚えてないが、俺よりもかなり歳が上だったのは覚えている。ダイヤが俺の顔を見て、俺の兄貴に似ているってよく言うから、今の俺の顔に似ているんじゃないかな。」

「じゃあ、もし会えたらすぐわかっちゃうな!」


俺が明るく言うと、ウィルは立ち止まる。


「ウィル?」

「今日、俺誕生日なんだ。」

「そうなの!おめでとう!遅くなっちゃうけど、明日メグと三人でパーティーを…―――」

「兄貴からカードが届いていない。」


ウィルは俯いたままで俺から顔が見えない。

俺も思わず足が止まる。


「兄貴、もしかして…。」

「ダ、ダイヤはお兄さんのこと知ってるんだよね。明日…いや、今からでも聞きに行こうよ。」

「でも、」

「いいから行こう!」


ウィルの手を掴み、俺は来た道を戻る。

向かいからダイヤとニーニャ歩いてきた。


「ダイヤ!ちょっと話が。」

「どうした。そんなに焦って。」

「俺の兄貴から毎年誕生日にカードが届いていたんだが、今日は届いていない。」


ダイヤの大きな目は、さらに大きく見開かれた。


「確認しよう。」


少し早足でダイヤはどこかへ行ってしまった。

その様子をニーニャは心配そうに見つめる。

ダイヤが角を曲がり、見えなくなるとニーニャはハッとしてウィルに話しかける。


「『今日はあいつの誕生日なのに一緒にいてやれなくて申し訳ない。』とダイヤが言っていました。

渡したいものがあったようなので、あとでダイヤの部屋に案内しますね。」

「は、はい。」


ウィルの表情がさっきよりも少し明るくなったのがわかった。

俺は少し違和感を感じた。


(ウィルは随分前からこの城に長くいるようだけど、ダイヤの部屋の場所を知らないのか?)


しかしこの城はとても広い。城全部を見て回るというのは難しいのかもしれない。


(ダイヤの部屋はどこにあるのだろう。)

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