44話 家族はここに
西の国の調査を終えたダイヤが東の城に帰ってきた。
「ダイヤおかえり。お風呂洗ったよ、行こう。」
「ありがとう。…テオはどこだ。」
「ソルと一緒に何処かへ出かけていったよ。」
「ほんと仲いいよな。まぁいい、行こうか。」
ニーニャとダイヤはバスルームに向かう。
バスルームに向かう途中でヴァイオレットとすれ違う。
「風呂行くか?」
「…」
「そうか、帰ってきたら教えてやるよ。」
ダイヤはヴァイオレットの頭を撫でた。
ヴァイオレットはニコニコと笑って歩いていった。
ヴァイオレットはダイヤたちと会ったあと、正面玄関前の階段を上がり二階のフェンスの間からプラプラと足を出す。
そこからは正面玄関のドアがよく見えた。
「何してるんですか?」
ヴァイオレットが声がする方に顔を上げると、そこにいたのはウィルだった。
「誰か待ってるんですか?」
『テオとソルを待っている』
ヴァイオレットは持っていたノートとペンで文字を書き、ウィルに見せる。
「さっき出たばかりなんで、戻ってくるのは遅くなりそうですよ。」
『それでも待つ』
「じゃあ俺も。」
ウィルはヴァイオレットの隣に同じようにフェンスの間から足を出して座る。
『入隊してからどう?』
「大変だけど、楽しいです。まだ入隊したばかりですが、いい仲間もできました。」
『仲間を大切に』
「はい!」
「何してるの?」
俺はウィルとヴァイオレットを見つけ、ウィルの隣に座る。
「ライトか。ヴァイオレットさんと一緒にテオさんとソルさんが帰って来るの待ってるんだ。」
「なるほど。」
ヴァイオレットと話したことがあまりなかったので俺は少し緊張したが、彼女が俺に話しかけてくれた。
『ライトも一緒に待ってくれるの?』
「はい。俺も待ちますよ。」
俺はフェンスの間から足を出した。
「ヴァイオレットさんは、どうして二人の帰りを待っているんですか?」
『父様がテオを探していた テオに伝言を伝えたい』
「どんな伝言なんですか?」
今度はウィルが尋ねた。
『それはウィルにも言えない それに私はお風呂に入りたい』
「え、ダイヤさんは?」
『父様は、今ニーニャとお風呂にいった』
「メグやリンさんを呼んできましょうか?」
俺が言うと、ヴァイオレットはプクゥと頬を膨らませる。
『ファミリーでないといや』
「そうなんですか。」
すると、ガチャリと正面玄関のドアが開く。
ヴァイオレットは立ち上がり、階段を駆け下りる。
ドアからテオが現れ、その後ろからソレイユが顔を出す。
「おぉ!なんかいっぱい人がいるな!」
ソレイユが二階に座っている俺達を見ると、ヴァイオレットがテオに飛びつく。
「ただいまぁ。ヴァイオレット、風呂行こか〜。」
「またな〜。」
テオ、ソレイユ、ヴァイオレットはバスルームに向かう。
俺とウィルは座ったまま取り残されてしまった。
「ファミリーか。」
ウィルは言葉をこぼす。
多分お兄さんのことだろう。俺が彼にかけられる言葉は無かった。




