42話 鳥は風に乗って。
次の日、ダイヤはフォンシーレの西ゲートでシェムを待っていた。
「時間通りに来るなんて、珍しいですね。おはようございます。ダイヤさん。」
「さすがに王様待たすのは悪いと思ってな。
…気をつけろよ、俺が西の国に最後に入ったのは何十年も前だ。」
「はい、でも私はあなたがいれば安心です。アルクスさんもきっと同じような気持ちだったんでしょうね。」
シェムは柔らかく微笑む。
「頼りにしていますよ。」
「了解だ。」
二人はゲートをくぐり、西の国の城へ向かう。
ダイヤとシェムは西の国の街を進む。
「見ない間に随分発展しているな。」
「やはり、大きな国の中心部は人が多いですね。」
「国の端までこのくらい賑やかならいいんだがな。」
しばらく進むと西の国の城が見えた。
城の門の前には門番が立っており、門の前で一度止められてしまった。
「ハニスさんに今日伺うと言ってあるんですが。」
「たとえ、南の国の王と純血の魔法使いであっても、私はいらっしゃると聞いていないので、お通しすることは出来ません。」
ダイヤは門番の目を覗き込み、顔を曇らせる。
「シェム。ハニスはこの門番に俺らを通さないように伝えているぞ。」
「どういうことですか!?」
「見られちゃならないものが中にあるってことだよ。」
ダイヤはそう言うと、門に触れる。
「この城の中にデイヴィッドはいないみたいだな。」
「見えているんですか。」
「俺の実力を舐めてもらっちゃ困るな。多分、重要な情報を持っているんじゃないか。
門番のお兄さん、俺らを通さない理由教えてもらえるかい?」
ダイヤは門番に近づく。
門番は一歩、また一歩と後ずさりし、門に背中が着いてしまった。
門番が何か言いかけたところで、ハニスが現れ門が開く。
「いやぁ、思ったよりも早く着いたんですね。」
「ハニスさん、門番の方に私たちを入れないよう頼んだのはどうしてですか。」
「ちょっと試したかっただけだよ。純血の魔法使いをね。この国にはいないからさ。」
「お前が嫌で出ていったの間違いなんじゃないか?」
ハニスは声を上げて笑うとダイヤの方に近づく。
「それはどうでしょうね。さぁ、中へお入りください。」
ダイヤとシェムは怪しみながら、城の中に入り、応接間に通された。
「あの門兵のことは許してやってくれ。俺の言う通りにしただけで、彼は何も悪くないよ。」
「…シェムやはりこの城にはいない。が、近い。」
ダイヤの言葉に驚いたシェムとハニスは目を見開く。




