41話 虹の麓で笑う君に
ニーニャがクロムの部屋の戸をノックする。
「クロム様。シェム様からの手紙です。」
「ありがとう。ダイヤを呼んできてもらえるかな。」
「はい。失礼します。」
手紙をクロムに渡し、ニーニャは部屋を出た。
「来週の週初め、東の国から、か。」
次の週の初めライオンの獣人とその付き人らしき獣人たちが東の国にやってきた。
白い肌に小麦色の髪、ブルーアパタイトのような瞳。服にはたくさんの装飾がついていた。
外で稽古をしていた俺とウィルは、城の中に入っていくライオンの獣人を眺める。
「誰だろう。」
「多分シェムさんじゃないか?南の国の王様だよ。」
「遊びに来たってこと?」
「ダイヤさんに聞いたんだけど、トヤヘリノ全域を調査しているらしい。
その調査をダイヤさんが手伝うから、迎えに来たんじゃないか?」
「二人ともよそ見は厳禁だぞ!」
ソレイユの声で俺達は稽古に戻る。
彼の体調はほとんど良くなったらしく、昨日からみんなと一緒に稽古に参加、指導をしてくれている。
動きが速く、底なしの体力のソレイユの稽古はとても過酷だ。
これだけやり手のソレイユでも敵わなかった、あの銀髪の青年は一体何者だったのだろうか。
ゲストルームではクロム、ダイヤ、シェムが話していた。
「お忙しい中、お時間を作っていただき感謝申し上げます。」
「いえいえ!本日はお越しいただき、本当に嬉しいです!」
シェムが頭を下げ、クロムも慌てて頭を下げる。
「ダイヤさんもありがとうございます。」
「おう。それにしても久しぶりだな。見ないうちに老けたんじゃないか?」
「ダイヤ!?」
「大丈夫ですよ。最後にあったのは私の戴冠式でしたよね。」
「お前の力になれるなら、俺はできる限り力を貸すぞ。」
「ありがとうございます。では、まずこの城から早速調査を始めさせてもらいます。」
「どうぞ。」
クロムが言うと、数人の獣人が部屋を出て調査を行う。
「シェムとアルは二人でビーチバレーのチームを組むほど仲が良かったんだよ。」
「そうですね。彼は私の兄のような存在でした。」
「そうなんですね。あの、父のこともっと教えてほしいです。ダイヤもニーニャも全然話してくれなくて。」
「おや。そうなんですか?」
「聞かれたことは答えてるぞ。」
「では、これを機に話しましょうか。」
クロムは目をキラキラさせて頷くと、シェムとダイヤはアルクスとの思い出を話す。
昼過ぎに東の国の調査は終わった。
特に問題はなく、シェムは今日中に東の国の調査を終えるようだ。
「では、明日から西の国の調査を行いますので、ダイヤさんは協力よろしくお願いします。」
「気をつけて帰れよ。明日フォンシーレの西のゲートで待ってる。」
「はい。では、失礼します。」
シェムと付き人達は獣人が引く車で帰っていった。




