4話 翡翠の城
「じゃあ、僕の家においでよ!」
金髪の男は太陽のような笑顔で言った。
茶髪の男とは違い、信用できるような気がした。
俺は元の世界に帰りたいと思っていたので、協力者がいるのはいいことだと思った。
俺はお願いしますと頭を下げ、彼の家に案内してもらうことになった。
彼の家に向かう途中で、いろいろなことを教えてくれた。金髪の男の名前は”クロム”ということ。ここの地域は”トヤヘリノ”ということ。ここトヤヘリノには四つの国と一つの街があるということ。茶髪の男の名前は”ハニス”ということ。
「そういえば、魔導書についてよく知っている人が僕の城にいるんだ。着いたら聞いてみよう。」
やわらかい笑顔で言ったが、俺は聞き逃さなかった。
「し、城!?」
思わず大きな声をあげてしまった。
「あれ、言ってなかったっけ?僕は東の国の国王クロム。いろいろあって城から抜け出してきたんだ。」
そんなことを話していると、目の前に大きな城が見えた。白い城壁に翡翠色の屋根。城の奥には森が見える。大きな門が開き、中に入るとクロムは尋ねた。
「そいえば、君の名前聞いていなかったね。」
「”ライト”っていいます。改めてよろしくおねがいします。」
クロムがこちらこそと、握手を求めようとすると、
「クロム様!」
という怒った様子の青年が現れた。
青年には猫のようなしっぽと耳がはえていて、髪はカラスのように黒かった。青年の目は、アメジストをはめ込んだように美しく思わずうっとりしてしまった。
「た、ただいま…」
クロムは笑ってごまかそうとしている。
「ダイヤがあなたを探しに外に出ているので、自分で連絡してください。」
猫の青年は目を細めていった。どうやら、ダイヤという人物がクロムを探しに行っているらしい。
クロムはごめんと俺に言って芝生を横切り、城の陰で見えなくなった。
「お客様はこちらへどうぞ」
と、猫の青年に城の中に入れてもらった。
彼は背が高く、見れば見るほど美しい。まるで本当のお城の飼い猫のようだ。(本当の城の飼い猫を見たことはないが)
城の中に入ると、ゲストルームに案内された。置いてある家具や絵はどれもとても高価なものだろう。
「お茶をお持ちします」
といって猫の青年は部屋を出て行った。
広い部屋で一人になってしまった俺は椅子に座り、これは夢ではないかと頬をつねったが夢ではないようだ。異世界で一人になるという不安感からクロムについてきてしまったが、本当に大丈夫なのだろうか。
そう考えているとクロムが部屋に入ってきた。




