33話 治療
誰かが俺に話しかけている。
誰だろう、ぼやけていて聞き取れない。
重いまぶたをゆっくりと開けると、そこにいたのはメグだった。
メグの目には涙が溜まっている。
俺が目を開いたのに気づき、後ろを振り向いて誰かを呼ぶ。
少し離れた場所から近寄ってきたのはウィルとダイヤだった。
ウィルはホッとしたようにその場に座り、ダイヤは俺の顔をペタペタ触ると、メグに何かを伝えて来た方向へ戻っていった。
「ライト大丈夫?」
やっとメグの声がはっきり聞こえた。
応える代わりに体をゆっくり起こす。
周りを見渡すとソレイユが仰向けになって寝ており、その手を握るテオがいた。
テオの背中には剣で刺されたであろうところの服に穴が空いていたが、傷はない。
テオの向かいにダイヤがおり、ソレイユの治療をしているようだ。
「解毒剤が効かねぇ。一旦城に戻ろう。」
ダイヤがそう言うと、テオは頷きソレイユを抱えて立ち上がる。
ダイヤが立ち上がると、さっき銀髪の青年を退場させたものと同じ扉が現れる。
ダイヤがその扉を開けると、その先は城につながっていた。
「メグ、ウィルはライトに肩貸してやれ。」
ダイヤはそう言うと小走りで城の中に入っていき、それにテオもついて行った。
「立てるか。」
「ありがとう。」
俺はウィルの肩を借りて立ち上がる。
ゆっくりとドアの向こうに行き、城の中に入る。
扉をくぐり、中に入ると医務室の前の廊下だった。
俺達はそのまま医務室に入るとニーニャがいた。
「ライトさん大丈夫でしたか?そこに座ってください。」
ニーニャはそう言って、俺を椅子に座らせると、聴診器を俺の胸に当てる。
「ニーニャさんこんなこともできるんですか。
お城の執事の方って凄いですね。」
ニーニャの上には一瞬はてなマークが浮かんだが、
何か気づいたように口を開けた。
「僕は執事ではないですよ。四番隊の副隊長なんで、軍事医療の免許を持っています。」
「そうだったんですか!」
俺はニーニャは五番隊の人だと思っていたから驚いたが、場所的に大きな声を出すのは控えた。
「ソルさん大丈夫かな。」
メグが心配そうにソレイユが寝ているベッドの方を見る。
テオ、ダイヤ、リュンヌがそこで話していた。
「たぶん、あいつが持ってた銃の玉に毒が塗られてたんちゃうか。俺には毒が来てへんし。」
「でも、ソルは毒耐性があるからここまで酷くならないよ。」
「毒が効かない分、薬が効かない。外傷は治せるが、体内の毒を取り除くことは俺にはできない。
リリィ呼んでこい。浄化魔法でどうにか出来るかもしれない。」
「すぐ呼んでくる!」
リュンヌはリリィを呼びに医務室を走って出ていった。




