31話 おかしなあまい鍵
俺・メグ・ウィルの三人はテオとソレイユが銀髪の青年を足止めしてくれている間に、
探知遮断魔法の源を探すため走っていた。
「探知遮断魔法の源ってどんなものなんだ?」
「正確にはわからないが、設置型の魔法だからなにかトリガーがあるはず。
それを見つけて壊すことができれば、魔法を解除できる。」
「トリガーって例えばどんなもの?」
「設置型魔法って難しいものが多いから専用の魔法ツールがあるんだ。
形がシュガーポットに似てるんだけど、小さいと思うから棚の下までしっかり探してほしい。」
「わかった!ありがとう、ウィル。頼りになるな♪
ここから別れて探そう。俺は向こう側の列から探してくる。」
「お互い頑張りましょう!」
俺とメグは別れて反対向きに、それぞれ走り出した。
シュガーポットみたいな形って言っていたけど、俺の予想以上に小さいな。
設置魔法の魔法ツールっていうからもっと大きいものを想像したが…。
しかし、魔力探知を遮断されていては、魔導書は見つからないようだ。頑張って探すしかない。
俺は棚の隅々まで探したが、中々見つからない。
「どこにあるんだよ…。」
そう言って上を見上げた時、棚の上の方にきらりと輝く何かが見えた。
もしかして、、、
そう思った瞬間入口の方で岩が砕けるような音が聞こえた。
驚いて音のする方に顔を向けると、床の石畳が割れ、その上に誰かが横たわっていた。
目を凝らして見ると、そこに横たわっていたのは、
仰向けになっているソレイユとそれを庇うように覆うテオだった。
テオの背中には先程銀髪の青年が持っていた剣が刺さっていた。
一瞬何が起こったかわからなかったが、ウィルの声で我に返る。
「メグ、ライト!設置型魔法ツールを早く!」
ウィルがそう言って銀髪の青年に斬りかかるのが見えた。
俺は棚の上の何かを手に取り、勢いよく地面に叩きつけた。
陶器が割れるような音とともに、銀髪の青年が入口の方から俺の前を通り、奥の本棚の方に勢いよく走っていく。
俺の前を通るときに銀髪の青年は俺が割った何かを見ていたような気がする。
青年は奥から二番目の壁際の本棚の左端を軽く引いた。
その棚はどうやら隠し扉になっていたようだ。
青年が隠し扉を開けると、そこにはふわふわと浮く紫の魔導書がそこにあった。
青年は魔導書を手に取り、振り返るとそのまま入口の方に歩いていく。
「ありがとう少年。おかげで予定より早く見つけることができたよ。
ついでなんだけど、さっきアイツらが言っていたダイヤっていう魔法使いのことについて何か知っていることはない?」
青年は俺の前に立ち、俺に目線わ合わせるために少し腰を折る。
「俺は、最近この地域に来たばかりなんだ。そんな魔法使いの話は聞いたことがない。」
俺の声は自分でもわかるくらい震えていた。
青年は俺の目をじっと見ると姿勢を戻して歩き始めた。
「そうか。変なこと聞いて悪かったな。」
青年は明るく言った。
二、三歩歩くと青年の前にウィルが立つ。
「魔導書を渡せ。」
ウィルの剣が青く輝く。
「君、見てなかった?君一人じゃ俺には勝てない。」
ウィルの剣を握る手からギシギシと音が聞こえる。
「そうだ、せっかくだからいいもの見せてあげるよ。」
青年はそう言って魔導書を開く。
すると、魔導書が光り、魔力がそこに集まっているのが俺にもわかる。
「惑星の誘引」
青年はそう唱える。




