3話 太陽と空色
そもそも俺の前にいるこの男は何者なんだ?
少し怪しいだけで本当はただ本が好きな子どもなのかもしれない、
(見せるだけなら大丈夫かな)
そう思い本を開こうとすると少年の後ろから別の男が現れた。
「あ!こんなところにいたのか!帰りが遅いから心配したよ。」
金髪でオレンジ色の瞳、髪に宝石のようなピン留めがついている。
妖精のような声で話す金髪の男は続けて言った。
「新人君をおつかいに出したのはかわいそうだったかな?つかれてしまったよね。」
「だからか!見おぼえないと思ってたんだよね~」
少年はそう言うと元の大きさにもどった。
俺には何が起こっているのかがさっぱりだったが、どうやら茶髪の男は本を諦めてくれるようだ。金髪の男は俺を助けてくれたらしい。
「じゃあ、お使いの邪魔しちゃ悪いから俺は帰らせてもらうね」
茶髪の男は俺の目を見て微笑み、手を振ったが、彼の大きな眼は笑っていないように見えた。彼が俺に背を向けるとき、時計のようなものが光ったような気がした。
「君大丈夫だった?」
金髪の男が俺に優しく問いかける。
俺はうなづいた。全身の力がふっと抜けたような気がした。
「君が持っているそれって、、もしかして”魔導書”!?」
金髪の男は驚いたように俺の持つ空色の本を指さした。どうやらこれは魔導書らしい。
俺はそれを聞くと心が跳ね上がった。念願の魔法が俺にも使えるかもしれないと思ったからだ。
「これがあれば、俺にも魔法が使えるってことですか!」
目を輝かせて尋ねる俺に男は申し訳なさそうに答えた。
「ええっと、、君から魔力が感じ取れないから、厳しいんじゃないかな。そもそも魔導書は魔力を増幅させる道具だから魔力がないと使えないんだ。0に何をかけても0のままでしょ?」
俺はがっかりした。
多分これが人型の光が言っていた”お助けアイテム”なのだろう。しかし、俺に使えないのならただの分厚い本にすぎない。
「異世界に来ても、俺はただの凡人か、」
ぽろっと言葉がこぼれてしまった。
「君異世界から来たの?」
男に聞かれてしまいしまったと思ったが、男は太陽のような笑顔でこう言った
「じゃあ、僕の家においでよ!」