27話 1ock
「お、早かったな。」
ダイヤの白衣から箒が飛び出てきて、それに乗るともう一度口を開いた。
「ライトとテオははじめまして、、だよな?」
「はじめまして。サイモンです。」
白髪の男性、サイモンは優しく笑った。
俺も軽く会釈する。
「じゃあ、行くか。案内頼んだぞ。」
ダイヤとサイモンを含む七人で屋台が並ぶ方、フォンシーレの北側まで来た。
「フォンシーレの北は、ほぼ北の国だね。」
「たしかに、だいぶ冷えてるな。」
「ここら辺なんやけどなぁ。あ、ここや!」
テオは該当の下の少し色の違う地面を指さす。
「これ踏むとな。あこのドアが地下倉庫の階段に繋がるねん。」
テオが色の違う地面を踏むと、近くでガチャという音が聞こえ、テオが先程指さしたドアを開ける。
「かなり高度の魔法だな。」
「僕は扉の魔法使えるのダイヤしか知らないんだけど。君が作ったんじゃないの?」
「自分で作った道ぐらい覚えてるぞ、俺は。」
どうやらこの”扉の魔法”は難しい魔法のようだ。
ダイヤがこの魔法を使えるとサイモンが知っているということは、どこかで使っているのを見たのだろうか。
俺の中で少し気になる魔法ではある。
テオを先頭に俺達は螺旋状の階段を降りていった。
階段を降りた先には古い木の扉があり、サイモンが鍵穴のところに顔を近づける。
「このタイプなら開けられるよ。少し待ってね。」
テオとソルは嬉しそうにグータッチをする。
サイモンはベルトポーチからいくつかの工具のようなものを出し、鍵穴に差し込む。
すると、鍵穴のところに魔法陣が現れた。
この鍵あけの技術も魔法のひとつなのだろう。
サイモンが作業を始めてから一分も経たないうちに扉がガチャッと音を立てる。
「開いたよ。」
サイモンがニッコリして俺たちの方に振り返る。
「さすがサイモン先生!」
「ソレイユ君ありがとう。では、僕らはこれで。」
サイモンが階段をあがりかけたところで止まった。
「そういえばソレイユ君。僕の授業の課題が出ていないのは、あなただけですよ。」
サイモンの顔はニッコリ笑顔のままだったが、すごい圧を感じた。
耳がとがっている魔法使いは敵に回してはいけないなと改めて思った。
「まぁまぁ、今日はいいじゃねぇか。
リリィがおいしいお茶菓子焼いてくれてるから、東の城に行こう。」
「え、いいのかい!」
サイモンがルンルンで階段を駆け上がり、ダイヤはそれにフワフワとついて行く。
「じゃあな。」
そう言うと2人の姿は見えなくなってしまった。
「早速入ってみようぜ!」
ソレイユが木の扉に手をかける。




