26話 花の景色
歓迎会が終わり、隊服をもらってメグとウィルといっしょに隊員寮に戻る。
その時、周りの先輩隊員たちからの視線を感じた。
俺は新人隊員だからジロジロ見られているんだと思ったがどうやら違う雰囲気だ。
俺は気にせず、寮に戻った。
寮の部屋に戻ると、花精霊の槍が月光に照らされて、輝いている。
俺はなんとなくそれに触ると、花精霊の槍が光り、俺の視界が白み始めた。
ぼやぼやとした視界の中に緑色のものが見える。
これは木の葉だろうか。
左側から話し声が聞こえる。そちらに顔を向けると、人が二人。
あれは、、クロム?後ろ姿だが、特徴的な髪型と美しい金髪がクロムに見える。
もう一人はリリィにそっくりだ。
二人は何かを話しているようだ。
「これが城の庭に埋まっていた。これがここまで案内してくれたんだ。」
そう言って。クロム(?)は花精霊の槍をリリィに見せる。
リリィはそれに驚いたのか目を見開く。
「シルファー・ブラックと話がしたい。」
クロム(?)がそう言うと、リリィは花精霊の槍に目を落とし、湖の方に歩いていった。
リリィにクロム(?)がついていくと、俺の視界がまた白み始める。
気がつくと、俺は花精霊の槍を持ってベッドに座っていた。
以前空色の魔導書に触れたときも同じようなことが起こったが、どうやらこれは魔導書の力では無かったようだ。
ということはこの世界のものに宿る力なのかもしれない。
今見たことも含めてクロムに聞いてみてもいいかもしれない。
次の日フォンシーレに向かうため、隊服を着て、花精霊の槍を持って集合場所に向かう。
俺が着いたときには、メグもウィルもいてその後すぐにテオとソレイユも集まった。
「ダイヤはサイモン先生連れて先に行ってるらしいから行こうぜ!」
ソレイユがそう言うと門を開けてフォンシーレに向かう。
よく考えると異世界に来て東の国に来てから、初めてこの国から出る。
緊張もあったが、ワクワクのほうが大きかった。
「そういえばみなさんは、どこの出身なんですか?やっぱりこの国ですかね?」
メグが楽しそうに話し始める。
俺はドキッとしたが、みんなが話し始めた。
「俺はこの国とは全然違う海の向こう側から来たんだぜ!」
「俺は生まれは西の国やけど、ずっと東の国で暮らしとるで。」
「俺もずっと東の国ですね。」
みんながどんどん答えていく中で俺はとても焦っていた。
「ライトは?」
「俺はソレイユさんとは多分違うここから遠いところから来たんだ。」
ソレイユもだいぶアバウトな回答をしていたから俺も大丈夫だろうと思い、答えたのだが。
本当に大丈夫だったようだ。
「お前もトヤヘリノ以外の地域の出身だったんだな!あと、俺のことソルって呼んでくれよ〜!」
ソレイユは俺の背中をバンバンと叩く。
他にも好きな食べ物や、城であった面白かったことなどについてたくさん話しをした。
五人とも年が近く、馬が合ったのだろう。
学校の友達と話しているようでとても楽しかった。
楽しく話をしているとあっという間にフォンシーレに着き、
噴水のある広場にダイヤと長身で耳がとがった白髪の男性がいた。




