24話 青い威厳
、、、?
(えっ、ワイン!?いやもしかしたらジュースかもしれない。)
俺が心のなかでそう考えていると、ダイヤと目が合った。
「こういう時以外飲まないんだから、別にいいだろ。」
俺は激しく首を縦に振る。
これはいわゆるショタジジイってやつなのか?
薄々そう思っていたが、まさか本当にいるものなのか。
まあ、ゲームや漫画じゃあるあるかもしれないが。
俺の中のダイヤがますます不思議の存在となった。彼は一体何者なんだ。
ダイヤはグラスのワインを飲み干すと、席から立ち上がり、出入り口の方へ歩いていく。
「もう戻るの?」
「用は済んだだろ。」
クロムは寂しいのか通り過ぎるダイヤの服を軽く掴む。
すると、両開きのドアが勢いよく空き、小さな女の子が入ってきた。
その女の子は一直線にダイヤの方へ走っていき、ダイヤに飛びついた。
「ダイヤ〜〜〜〜!!!」
ダイヤはそのまま後ろに倒れてしまった。
その女の子はダイヤよりも小さく、髪が薄いミント色でとても綺麗だ。
「リリィどいてくれ。もう俺部屋に戻るから。」
「なんでそんな事言うのよ!まだ始まったばかりじゃない!
テオちゃん、ニーニャちゃんこの子席に戻すの手伝って!」
そう女の子が言うと、やれやれとテオとニーニャが立ち上がる。
ダイヤは元の席に座らされて呆れているようだ。
「メグ!入隊おめでとう!あなたなら大丈夫って信じてたわ!
ウィルちゃんもやっと入隊させてもらえたのね。良かったわ!
あなたは…」
女の子と目が合う。
「俺はライトです。よろしくお願いします!」
「ライトちゃんね。入隊おめでとう!これから頑張ってね!
私はリリィよ。よろしくね。」
俺はリリィと握手した。
「それでリリィさん。何かあったの?入隊式のためだけに来たって感じじゃなさそうだけど。」
「今日、魔人がこの国に出たってヴァイオレットちゃんから連絡があったから来たの。
しかも、高ランクの魔人…かなり良くない状況だと思ったのよ。」
クロムとリリィの表情が曇る。
「あれで高ランクやったん?新人で事足りたけど。」
「あ、多分俺が焦がした。」
ダイヤが言うと周りのみんなが驚いたように彼の方を見る。
「まぁ、ダイヤの実力は何年立っても変わらないってことは、これで証明されたわね。」
「そういえば、あいつ喋ってたな。―――クロム、リリィ、多分だが魔人の狙いはこの城と森だ」
「やっぱり…。」
重たい空気が漂うのと同時に俺の腹も落ち着いてきた。
「ヴァイオレット、三番隊に連絡してきてくれるかい?
できれば一人帰ってきてほしいところではあるんだけど。」
ヴァイオレットは頷くと席を立ち、軽く膝を曲げてお辞儀した。
彼女の髪、服のレースやリボンだけが俺等にかかる重力の半分なんじゃないかと思うくらいフワフワと優しい波を打っている。
彼女は両開きのドアを静かに開け、部屋の外に出ていった。




