23話 入隊式
2次試験が終わり、俺を含む受験生三人は入隊式のため城の中のホールの前に集められた。
ホールの中はまだ見ていないが、中から楽しそうに話す声が聞こえる。
きっと隊員でいっぱいなのだろう。
すると中からチリンというベルの音と、クロムの声が聞こえてきた。
「みんな、今日は集まってくれてありがとう。新入隊員は三人だ。優しくしてあげて欲しい。では、新入隊員入場!」
クロムがそう言うとホールの大きな両開きのドアが開き、中の隊員達が拍手で迎えてくれた。
隊員たちは全員で五百人ぐらいだろうか。たくさんの椅子に長い机。
机の上にはたくさんの料理が乗っていた。
ホールの天井は高く、大きなシャンデリアとステンドグラスの窓が綺麗に輝いていた。
前の舞台の席には、クロム、アリスと各部隊の隊長が座っていて、その一段下の席が三つ空いている。
「ようこそ。さあ、前にどうぞ。」
アリスの声に頷き、俺ら三人は前の舞台の空いている席に座ると、ニーニャがマイクを持って横に立つ。
「それでは、新入隊員の紹介をします。
向かって左から、メグさん、ウィルさん、ライトさんです。
メグさんは四番隊。他二人は一番隊に所属となります。」
「ニーニャありがとう。新入隊員のみんな、改めてよろしく。じゃあ冷めないうちに食べよう。」
クロムがそう言うと、みんなグラスを持った。
「新入隊員を祝して―――乾杯!」
「乾杯!!!!!」
明るく元気なクロムの声と隊員たちの声がホール中に響く。
机の上の料理は見たことのあるものが多く、異世界でも料理はあまり変わらないものなのかもしれない。
料理を食べていると俺たちの席に近いテオが話しかけてきた。
「みんな改めておめでとう〜。ウィルもやっと入隊許してもらえて良かったわ〜。」
「ニーニャさんと二人で説得してくれたんですよね。ありがとうございます。」
「せや!特にニーニャが推してくれとったから、ホンマに感謝やで。」
テオとウィルが楽しそうに話していたが、俺にはさっぱりだった。
許して貰えたとはどういうことだろう。
そう考えていると、テオの隣にニーニャが座った。
「ウィルがありがとうやって。」
「ウィルは頑張っていますからね。僕も気持ちはわかりますし。」
「ほんまやで。俺等もなかなか許してもらえへんかったしな。」
テオとニーニャが楽しそうに話し合った後、
ウィル、テオ、ニーニャがダイヤの方を見る。
どうやら許してもらうとは”ダイヤに入隊を許してもらう”ということだろう。
「なんだよ。俺を見つめても、もう何も出ないぞ。」
そう言ってダイヤはワインを飲む。




