22話 合格発表
試験会場で戦いが行われている中、城の方の庭にダイヤが一人、箒に乗っている。
そして、数えられないほどの魔人が彼の周りを囲っている。
(やっぱり、狙いはこっちだったか。)
ダイヤは口元に手をあてる。
「城側の守りはお前だけか?」
魔人の一人がダイヤに話しかける。
「そうだ。俺一人で十分だろ。」
「聞いたか?こいつ一人で俺等を倒すらしいぜ!」
周りの魔人から大きな笑い声が聞こえる。
「しかも、お前よく見れば純血じゃなね?まだいるもんなんだな。」
「——もういいか。たくさん喋っただろ。」
ダイヤがそう言うと、庭全体を覆う大きな魔法陣が現れる。
「お前、魔力は高いのに頭が足りてないんだな。今生きている純血の魔法使いのことを学んでから来るべきだったと思わないのか?」
「人間なんかに俺等が負けるわけねえだろ!」
「俺からの警告だ。よく聞け魔人。ここトヤヘリノは”人属が中心”の地域になったんだよ。」
これを聞いた魔人たちは、驚きを隠せないようだった。
しかし、彼らの返事を待たないまま空が暗くなり、大きな魔法陣をめがけて無数の雷が落ちる。
ダイヤは黒く焦げて動かない魔人達を見下ろし、箒を軽く撫でた。
試験会場に雷鳴が響いた。
「城の方でなにかあったのかな。」
「ダイヤが行ったから大丈夫やろ。安心しいや。」
クロムはダイヤを心配しているのだろう。
「ねえぇ、受験生の子たち強いから私達の出番無かったよ〜。」
「ホントだぞ。こりゃ俺らの成績は現状維持だな〜。」
褐色肌の少年少女はガッカリしている。
そう、俺等受験生三人はここにいたすべての魔人を倒したのだ。
俺は安心と疲れからか、体の力が抜け床に座る。
「試験はここまでね。」
クロムとアリスが俺等三人の方へと来た。
俺は立ち上がり、ほか二人がいる方に集まる。
「みんなよくやったね。今年の受験生は優秀だ!」
「ということは、、」
「三人全員合格だね!」
クロムは笑顔で言った。(もしかすると、序盤で飛ばされたエルリックのことを忘れているかもしれないが…)
合格の喜びから、自然とガッツポーズが出た。
メグも嬉しそうに拍手している。
ウィルはまんざらでもない顔で腕を組んだ。
「所属はメグが四番隊、ライトとウィルは一番体だ。」
「え、俺こいつと一緒かよ。」
「ウィル!ライト!よろしくな!!」
ウィルがなにか言いかけたような気がしたが、褐色肌の少年にかき消された。
「じゃあ改めて自己紹介。僕はこの国の国王クロム。」
「私はアリス。クロムの妹で、この国の王女よ。」
「俺はソレイユ!気軽に”ソル”って呼んでくれ!」
「私はリュンヌ。”リン”でいいわ。」
「ニーニャです。」
「テオくんやで〜。みんなよろしくな〜。」
審査員たちが自己紹介するとウィルが口を開く。
「俺はウィルです。」
「私はメグです、よろしくお願いします…!」
「ライトです。よろしくお願いします!」
俺は深々とお辞儀をした。
「改めて、東の国の防衛隊。入隊試験合格おめでとう!」
クロム、アリス、審査員達はクラッカーを取り出し、一斉に鳴らした。