21話 guardian
俺が槍を構えると、ウィルが俺の横を走って通り抜けた。
彼の持つ洋風の剣は青白く輝いていて、不思議な雰囲気をまとっていた。
ウィルは眼の前の魔人を斬り、次々と倒していく。
ウィルの後ろに魔人が一人回ってきた。
「ウィル後ろが空いてる。」
メグが水魔法でウィルの後ろの敵を撃ち抜く。
「俺の名前知ってるのか。」
「私、前にあなたに会ったことあるもん。」
ウィルは少し考えて応えた。
「すまん。記憶にない。」
そう聞いたメグはウィルの顔に水魔法を当てて、奥に溜まっている魔人の方に行ってしまった。
俺は顔の水を拭うウィルの頭に”?の文字”が浮かんでいるように見えた。
俺はメグに続いて魔人のいる方向に向かった。
その頃テントの下では
クロム、アリス、ニーニャ、テオの四人が試験の合否について話し合っていた。
「ウィルは合格かな。まぁ一人を除いて一致だと思うし。」
「私もそうだと思います。あとの二人はどうかしら。」
「俺はメグも合格でええと思うで。水魔法は戦力になるし。——問題はあの子やわ。」
「そうね。今のところ活躍が見られないわ。」
クロム、アリス、テオの三人の中では俺、ライトの不合格が決まっていたかもしれない。
しかし
「彼には、まだ内に秘めた力があります。」
ニーニャがそう言うと他の三人はライトの方を見た。
メグが水魔法で次々と魔人を倒している。
「俺にもやらせて!」
俺は風魔法で追い風を起こし、槍のスピードと自分自身のスピードを上げた。
ニーニャと特訓したかいがあった。
ここの魔人たちよりもニーニャのほうが何倍も早い。
槍を刺し、抜いたところからは、白い花があふれるように咲く。
俺は魔人を三人ほど倒したところで、メグに話しかけられた。
「ライトは花魔法が使えるんだ!それって花精霊の槍だよね!」
「花精霊の槍…」
この槍の名前だろう。そんなにかっこいい名前がついているなんて知らなかった。
名前のある武器だから少々有名なのだろう。
俺は槍を強く握り直した。
「ダイヤの私物かしら。」
「倉庫の中に乱雑においてあった物の一つですよ。魔法石が入っていますが。」
「そんなもんがあの倉庫ん中にあったん!?」
そんな話をしていると。クロムの方に一人の魔人が近づく。
走りながら近づいており、魔法を打つ準備もしている。
しかし、クロムの五メートルほど手前の位置で燃えて、灰になってしまった。
「クロム様とアリス様には、指一本触れさせへんで。」
テオの尾の先が赤く光る。




