105話 白い星空
長い廊下を走り抜け、俺は肩で息をしながら風車の模様の扉を開く。
扉をぬけると大きな広場にたどり着いた。
「ダイヤ!」
「ライトか、どうしたんだ?」
「中庭の魔人がたいへんなことになってて。」
「サイモンがいるから大丈夫だろ。」
「空に穴が空いていて、数がすごいんだよ!サイモンさんも明るすぎて何かできないらしい。」
「明るすぎる?」
ダイヤはそう言うと、空を見上げた。
「あぁ、そういうことか。」
「夜を持ってきてほしいんだって。」
「夜ね。…三分後に始める。夜になるのは、十五分だけだ。
あいつの家計魔法を見たかったら、もう行きな。」
「わかった。十五分だね。」
俺はダイヤを信じ、また来た道を戻り、中庭に戻る。
「ダイヤに伝えてきました。もうすぐ暗くなるはずです。」
「おう!ありがとうな!」
中庭に戻ってきた俺にソレイユがそう言うと、空に大きな白い扉が現れる。
ダイヤの魔法の扉だ。
扉の影であたりが暗くなる。
「おぉ!来た!」
扉が開くと一面の星空が現れた。
「本当に夜にしてしまうなんて。」
「サイモンせんせーい!夜だよ!」
「家計魔法見せてくれよ!」
空を見上げるサイモンは呟く。
「はぁ、仕方ないですね。」
サイモンは夜の空に向かって両手を上げると、無数の鏡が現れる。
すると夜の空から大量の流星群がサイモンの鏡に向かって降ってくる。
「反映絶光斬」
鏡に落ちた星たちが、反射して次々と魔人達を倒していく。
サイモンを狙おうと近づいてきた鎌の魔人も、星が鎌ごと本体を貫通させた。
「サイモンさん!この扉十五分後に消えてしまうらしいです!」
「了解です。テオ君この間にお願いしますよ。」
「OKやで!もう終わるわ。」
テオが機械を操作しながら応える。
すると、空の穴の中に入った赤いガラス玉が、テオの元へと帰ってきた。
どうやら、何かが終わったようだ。
「よし、あとはこの穴を圧縮する感じに消すだけや。」
「圧縮!?」
「圧縮ってそんな簡単にできないぞ!」
「そうなん!?」
双子の反応にテオが驚く。
「また、ダイヤ様に知らせましょう!」
「せやな。はよ探しに…」
テオとメグがダイヤを探そうと、校舎の方に向いた時。
ダイヤはすでに中庭と校舎をつなぐ扉のところに立っていた。
「ライトが空に穴があるって言っていたから、気になって来てみたんだよ。」
ダイヤはそう言いながら中庭に出てきて、テオの近くにある空の穴に近づく。




