102話 香る黄昏
「さて、んじゃあ始めていこか。」
テオはそう言うと、伸びをして軽く跳ぶ。
そして、おもちゃの光線銃のような物を取り出し、空の穴に向かってそれを打つ。
銃の先についていた赤いガラス玉が、空の穴の中に入る。
そのガラス玉は、不思議に光る紐で光線銃とつながっっているようだ。
テオは地面に座ると、ノートパソコンのようなコンピュータを取り出し、操作を始める。
コンピュータを操作するテオの後ろに魔人が何人も現れ、テオに斬りかかろうとする。
すると、その魔人達が何かに撃ち抜かれる。
間一髪で攻撃を避けた魔人が、何かが打たれた元を見上げる。
そこにあったのは二階の渡り廊下で、ヴァイオレットが立っていた。
ヴァイオレットは二階から魔人達を見下ろしている。
ヴァイオレットの後ろには、恐竜の頭の骨のような物が浮いている。
どうやら、そこからビームが出ているようだ。
ヴァイオレットに魔人達が近づいてくる。
恐竜の頭のようなものが、ヴァイオレットを守るように前に出ると、ソレイユが魔人達とヴァイオレットの間に飛び出す。
「おい!ヴァイオレットに近づくんじゃねぇよ!」
ソレイユの雷に打たれて、魔人達は黒焦げになってしまう。
「ヴァイオレット、大丈夫か?」
ヴァイオレットは首を縦に振る。
「テオ、あとどれくらいかかるんだ?」
「まだ、だいぶかかるわ。できるだけ急ぐ。」
ソレイユとリュンヌ、ヴァイオレットは互いに背中を合わせて立つ。
「数が多すぎるよ。」
「テオが終わるまで耐えるしかない。」
双子はもう一度手を繋ぐ。
「魔力が切れる前にやるぞ!」
「了解!」
バチバチと双子の周りに稲妻が走り、魔人達の方に向かって駆け出す。
ヴァイオレットは恐竜の頭の骨のようなものの口から、星とリボンのついたステッキを取り出す。
ステッキを軽く振ると、星の形をした光の弾が素早く魔人の方に飛ぶ。
次々と魔人は星に飛ばされてしまうが、腕が鎌のような魔人に星が切られてしまう。
恐竜の頭の骨のようなものが、その魔人にビームを打つが、それも弾かれてしまう。
鎌の魔人がヴァイオレットに迫り、ヴァイオレットは杖をたくさん振る。
星やビームはすべて弾かれてしまい、ついにヴァイオレットの目の前まで魔人が来てしまう。
「…! ヴァイオレット!!」
ソレイユがそう叫んだときには、もう鎌が振り上げられていた。
ヴァイオレットは恐怖でステッキを落とす。




