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元の世界に帰るために本探してみた!  作者: 紅葉
第5章  魔法学校へ行こう
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98話 鳥は昼を好む

「妹ちゃん、他に北の情報は無いの?」

「はい。これ以上の情報は持っていません。北の国の情報はシルファーさんからお聞きください。」

「そうだね。そうするよ。」



するとコンコンという足音が聞こえてくる。

暗い通路の奥から人影が見える。

その人影が近づいてくるのを三人は黙ってみている。


人影は三人の近くに着き一礼する。



「遅れてしまってすまない。久しぶりに来たものだから、少し道に迷ってしまった。」

「ほ、本物、なのか?」

「?…。そうだが。俺の偽物に会ったことがあるのか?」

「いや、そういうんじゃないけど。」



シルファーが座ろうと、椅子をひくと、影で隠れていた彼の姿が初めて見える。

長い脚に高い身長、黒い長髪を一つに結んでおり、影になっている顔にターコイズの瞳が光る。

長い耳には魔法石の飾り、それに頭には大きな角が二本はえていて、角の間にまた魔法石。



「その姿は…。」

「お嬢さん、どうかしたかな?」

「いや、絵で見たものと姿が違ったので。」

「絵?」

「あなた達3人の絵本があるんですよ。」

「そうなのか。」



シルファーは引いた月の模様の椅子に座る。



「そういえば、今日は誰かに来てほしいと言われていたのだが。」

「それは、私の兄です。使いの者を通して伝えさせました。来てくださってありがとうございます。」

「君のお兄さんが、俺を呼んだのに会議に来たのは君なんだ。」

「兄は幼い頃から体が弱く、今日も体調を崩してしまったので、私が代理できました。兄の無礼をお許しください。」



アリスは立ち上がり、頭を下げる。



「いや、いいよ。お兄さんによろしくね。」



彼の声は優しいが、岩のように重い。

アリスは頭を上げ、椅子に座った。



「では、はじめましょうか。」

「で、息子さんはみつかったの?」

「いえ、けれどもあなたが情報を持っているのは確実です。」



シェムはハニスの方を向いて言う。



「俺?何度もいうけど、俺は何も知らないよ。あのちびっこが、嘘ついてるだけかも。」

「ダイヤさんは意味のない嘘はつきません。」

「そう?まぁ、俺はあのちびっこ信用できないね。あいつの言う事、八割嘘だと思うけど。」


「嘘…。」

「そうだよ、妹ちゃん。あいつは俺のことを魔女と呼び、魔女とは協力しないと言った。でも、東の国軍に”魔女”いるでしょ?

あいつは、俺にはバレていないと思っているかもしれないけど、俺をなめてもらっちゃ困る。俺と協力しない本当の理由が知りたいな。」

「東の国軍に魔女…?その情報はどこから手に入れたものなのですか。私にはその情報がありません。」

「優しいお兄さんが、君を心配させないように嘘をついている、あるいは隠しているのかもね。

俺にも言えることだけど、周りに嘘をついているやつは、多かれ少なかれ必ずいる。すべてを信用してはいけないよ。」


「まぁ、お前の言いたいことは分かるぞ。」

「シルファーもそう思うのか。」

「あぁ、そうだな。お前が嘘をついているということがよぉく分かった。」



ハニスは、明るくシルファーに話しかけたが、今の彼はシルファーを睨んでいるように見える。

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