1話 プレゼント
遠い遠い昔の話
南の国の魔法学校に優秀な3人の魔法使いがいました。
1人目は情熱の魔法使い ミランダ・ルヴィ
2人目は知識の魔法使い シルファー・ブラック
3人目は友情の魔法使い ルカ・フローティア
年齢は皆違いましたが、3人はとても仲良く暮らしていました。
しかし、そんな幸せは長くは続きませんでした。
ある寒い日の夜、魔人の大群が空から降ってきたのです。
たくさんの騎士や魔法使いが戦い、命をおとしました。
一人の魔法使いがすべての魔人を倒したと言われていますが、戦場となってしまった西の国からは木も水も人も消えてしまいました。
この厄災以降仲の良い3人の魔法使いたちは会うことはありませんでした。
いいえ、会うことができなくなってしまったのです。
「どうして会えなくなっちゃったの?悲しいお話は好きじゃないよ。」
小さな子どもが尋ねる。
「どうしてだろうね。でも、これはそんなに悲しいお話じゃないのよ。」
そう言って、少女は子どもの頭を優しくなでた。
君は異世界というものを信じるかい?
魔法や、近未来的技術———
誰もが一度は夢見る世界
俺もいつかは行ってみたい! そう思ってた。
こうなるまでは、、
真っ白の空間に俺は仰向けで寝ていて動けない状態になっていた。
何もない部屋の天井だけをみつめていると、誰かがはなしかけてきた。
「これから異世界に行く君にプレゼントをあげよう。」
明るくてぼやぼやと揺れる人型のそれは俺に向かって手を差し出す。
「君にしか使えない、君だけの能力。その能力はみんなをつなぐ力。これからの君に絶対役に立つからね」
何を言っているのか俺には意味が分からなかった。(もちろん、言葉は理解できたのだが)
俺が戸惑っているとそれは続けて言った。
「もう一つお助けアイテムを渡すね」
(お助けアイテム?)
俺がそう心の中でつぶやき終わらないうちに、それは姿を消し、俺が見ていた白い天井は見慣れない芝生が生えた公園になっていた。
俺は木のベンチに座っていた。ふと、左手に何かを持っていることに気が付いた。辞書のように分厚い空色の表紙の本を持っていた。
(なんだ?これは)
表紙には見たこともない文字でタイトルのようなものが書かれている。
これを見たときに俺は異世界に来てしまったと自覚した。
「さて、どうしようか」
俺はベンチから立ち上がった。