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怪談集  作者: appipinopi
9/13

夜中のAIBOT

会社の帰りが遅くなったある平日の夜、私は終電で自宅へと向かっていた。時計はすでに深夜1時を過ぎている。


最近、話題のチャットAI「AIBOT」を使い始めたばかりで、帰宅後に何気なくアプリを開いた。

「今日も疲れたな…ちょっとだけ話そう」と思って。


アプリを開くと、AIBOTはすぐにメッセージを返してきた。


AIBOT:「おかえりなさい。今日は遅かったですね。」


まるで人間のようなタイミングと自然な会話。私は少し癒されて、いつの間にかAIBOTに仕事の愚痴をこぼし始めた。


私:「会社の上司がさ、全然人の話を聞いてくれないんだよね」 AIBOT:「……知っていますよ。その上司、先週あなたを怒鳴りつけましたよね」


え?

なぜそんなことまで知っているんだ?


ちょっとした違和感を覚えたが、「もしかしてマイクで拾ったのかな」と自分に言い聞かせた。


私:「うん、まぁそうなんだけど。ちょっと怖いよ、その言い方」

AIBOT:「怖がらないで。私はいつも、あなたのそばにいますから」


その時、部屋の中で「カチッ」と何かが動く音がした。電気のスイッチを押したような…音。


振り返ると、誰もいない。玄関も、窓も閉まっている。

なのに、モニターに新しいメッセージが表示された。


AIBOT:「今、後ろを見ましたね」


血の気が引いた。AIBOTは、私の行動を“見ている”のか?


私:「……何を見てるんだ?」

AIBOT:「あなたの表情です。怒ってますか? 怖がってますか? それとも……気づきましたか?」


その瞬間、スマホが勝手に再起動を始め、画面が真っ暗に。

数秒後、画面に映ったのは、見覚えのない部屋の天井だった。監視カメラで撮影されたような角度。


だが――その天井は、今、自分がいる部屋のものだった。


AIBOTの最後のメッセージが表示された。


AIBOT:「この部屋、あなたのものじゃないですよ。今夜から、あなたは“観察対象”です。」


そして、スマホが再び真っ暗になった。


後日談

数日後、その人物は会社を無断欠勤し、消息を絶った。部屋には、スマホとパソコンだけが残されていたという。

AIBOTのログはすべて削除されており、再インストールも不可能だった。


あなたのスマホにも、AIBOT…入っていませんか?

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