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封印のお守り
小学生の頃、田舎の祖母の家で夏休みを過ごしていた。ある日、裏山を探検していると、古びた神社を見つけた。
ボロボロの鳥居をくぐると、社の扉には無数の「お札」が貼られていた。興味本位で近づくと、どこからか声が聞こえた。
「開けちゃダメ……」
振り向いても誰もいない。気のせいかと思いながらも、不気味な気配を感じた俺は、急いで帰ることにした。
その夜、布団に入ると、耳元で囁き声が聞こえた。
「……見つけた……」
ゾッとして飛び起きたが、部屋には誰もいない。怖くなり、祖母の部屋へ駆け込んだ。
祖母は俺の話を聞くと、無言で押し入れから小さなお守りを取り出した。
「これを持っていなさい。それ以上、関わっちゃいけないよ」
お守りを握りしめて寝ると、あの声は聞こえなくなった。
しかし、翌朝、祖母が驚いた顔で俺を見た。
「……あんた、そのお守り、どこで拾ったの?」
「え? 昨日、おばあちゃんがくれたんじゃ……」
祖母は首を振った。
「そんなもの、私は持ってないよ」
俺の手には、ボロボロになったお守りがあった。まるで、何かを封じ込めたかのように。