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隣人の腹筋
大学を卒業して、一人暮らしを始めた俺は、小さなアパートの二階に住んでいた。隣の部屋には静かな住人がいて、会ったことはなかったが、特に気にしていなかった。
だが、ある夜から奇妙な音が聞こえ始めた。
「……1……2……3……」
隣の部屋から、小さな声で数を数える声が聞こえる。時計を見ると深夜2時。まさか、こんな時間に筋トレか?
「……48……49……50……」
俺は眠れなくなり、壁に耳を押し当てた。規則正しいカウントが続いている。
「……98……99……100……」
そこで終わるかと思ったが、声は止まらない。
「……101……102……103……」
おかしい。さすがに多すぎるだろう。
翌日、管理人にそれとなく聞いてみた。
「ああ、隣の人? ……いや、君の部屋の隣は空き部屋のはずだけど?」
背筋が凍りついた。
夜になり、また聞こえてくる。
「……201……202……203……」
昨日の続きからだ。
俺は怖くなり、耳を塞いだ。でも、かすかに聞こえた。
「……お前の番だよ……」
次の日、俺は引っ越した。