ロンできない!
ある麻雀アプリで遊ぶプレイヤーたちの間で、「ロンができない」という奇妙な現象が報告され始めた。役満を張ってもロンできず、何度やってもツモしかできない――そのバグは、ある日“ある牌”を捨てたプレイヤーたちに共通していた……。
「ロンっ!!」
その日も、佐々木は仕事終わりにスマホでいつもの麻雀アプリを起動した。
牌の流れも良く、国士無双を張っていた。そして、ついに他家が九萬を切った瞬間だった。
が、ロンのボタンは現れなかった。
「あれ……バグか?」
何度タップしても、画面はピクリとも反応しない。
不具合かと思い再起動しても同じ。
再戦してもロンはできない。
数日後、ネット掲示板に書き込みをした。
「麻雀アプリでロンができないんだが同じ現象の人いる?」
数分後、返信がついた。
「それ、四萬捨てたことある?」
「それ、十三年前に亡くなったプロ雀士の話と同じだな」
「やっちまったな……」
「アカウント名教えてくれ、もう戻れないかもしれんけど」
背筋に悪寒が走る。
ログを遡ってみると、確かに数局前、自分は四萬を捨てていた。
だが、なんでそれが関係ある?
四萬を捨てるのは普通だ。
ふと、その時スマホが震えた、。
通知ではない。アプリからの音声だった。
「ロンはさせない。お前も、俺のように。」
音声は不気味な低音で、声の主は明らかに人間ではなかった。
アプリを削除しようとした瞬間、画面に血のような赤い文字が浮かび上がった。
「ロンしたければ、命を捨てろ。」
次の日、佐々木は行方不明になった。
ただ、彼が最後に送ったLINEには一言だけこうあった。
「ロン……できたよ」




