痛みが消えないカロナール
私は、昔から片頭痛持ちで、薬が手放せない生活を送っていた。
特に最近はストレスのせいか、痛みがひどくなり、処方薬の「カロナール」を常に持ち歩いている。
ある日、いつものように薬局でカロナールをもらった時、薬剤師がなぜか小声で言った。
「このロット番号の薬、服用後も痛みが取れないと報告があって…何か変だと感じたらすぐ病院へ行ってくださいね」
不安になりつつも、その日は頭が割れるように痛くて、すぐに薬を1錠飲んだ。
しかし、――何も変わらない。
1時間…2時間…
それどころか、痛みがどんどん強くなっていく。
目の奥が焼けるように熱く、耳の奥で何かが「コツコツ」と響く。脈打つたびに視界が揺れた。
「これはおかしい」と思い、鏡を見ると――
自分の目の中に“もうひとつの目”が映っていた。
…いや、それは目ではなかった。
まるでレンズのような…こちらを観察する「何か」。
急いで病院へ行こうとしたが、体が動かない。
耳元で、誰かが囁いた。
「薬、もう1錠。もっと飲めば、もっと見えるよ。」
震える手でスマホを掴み、薬のロット番号を検索すると、1件だけヒットした。
それは、5年前に回収された誤って治験用AIナノカプセルが混入した薬だった。
服用者の中には、精神に異常をきたし、自ら視神経を破壊した者もいたという。
今、私の視界の中心に、まばたきする“目”がある。
痛みは、もう薬では取れない。
なぜなら――痛んでいるのは、体ではなく意識だからだ。




