夢
αシリーズに属します。全27話の予定です。
これは、いつかも見た夢。
初回ではなく、似たシチュエーションで前にも見た夢だった。
【いらっしゃい、ミリアさん】
【はい】
やさしい目をした不思議な巫女。
見た目は女子高生と言われても信じそうな感じなのに、年代の読めない不思議な年輪を感じる人。
そう。
この人には以前にも──夢の中で、■■の手ほどきを受けたことがあった。
【あらおぼえてるの、じゃあ、きょうは続きをしましょうね】
【はい、■■様】
女性が自分の名を呼ぶ声は聞こえるのに、自分が彼女を呼ぶ声は聞こえない。
これもいつものこと。
それに背景もおかしい。
どう見ても沖縄かそれ以上に美しい南方の島の風景に、どこの国ともつかない不思議なデザインの大神殿。
まるでどこかの古代遺跡のような風景だけど、それはどうも遺跡でなく今も使われている施設なのだった。
◆ ◆ ◆
女性の手ほどきは続く。
いくつもの、力ある言葉たちを。
【■■■■■、■■■■】
【そうそう、それでいいのよ。心の赴くままに情景を描き、口にすればいいの】
【はい】
【うーん、でもあなたに杖は合わないわね……やっぱり■■でなく■■ってことなのね。装身具がいいかしらね】
【よくわからないです】
【うふふ、それはそうでしょうね。わかったわ、じゃあコレをあげるわ】
そういうと、女性はポケットから何かを取り出そうとして──そこで風景のすべてが揺らいだ。
【ああ、めざめるのね……じゃあコレは、あの子に渡しておくわ。楽しみにしててね、ミリアさん】
【はい……■■様、いえ、■■■■ー■さま】
【!】
女性は驚いたような顔をして、こちらを見て。
【夢の中でも、こちらがわかるようになってきたのね。頼もしいわ】
【……】
【いいのいいの、これも縁というものよ。今度は直接会いましょうね、ミリアさん】
【!?】
【会えるわ、だって貴女もまた星辰に愛されし者だもの。まぁ、いつのことなのかはわかりませんけどね】
フフフと女は楽しげに笑い、消えていくこちらに別れを告げるのだった……。