サファイア辺境伯の依頼7
「ルナ、全力で守りなさい!絶対よ!」
『はんっ!いい気味ね!今日はいいお酒が飲めそうよ!』
(お酒が苦手なのに何を言っているのですか・・・)
『比喩よ!比喩!』
「はぁ「アクア・ショット」
「これも全部ルナが迷子になったせいよ!」
いや、アリアネルさんのせいでしょ。
こうなったのは、予想外の出来事が起きたからしょうがないけどね。
* * * * *
「見なさい、異種族の魔物が交尾してるわよ」
「はぁ?何を言って・・・」
「ほら、交尾してるじゃない」
『ファイアーバードとビッグマウスね』
「と、とりあえず誰かに知らせないと!」
「・・・迷子なのに?」
「・・・」
沈黙に耐えかねて魔物の方を見ると、炎を纏った小さなビッグマウスが居た。
状況的に子供だと推測するしかなく、仮定でファイヤービッグマウスと勝手に名付けた。
流石にまずいので、逃げようと後退ると突然ファイヤービッグマウスが大きくなって通常のビッグマウスと同じ背丈になった。
「え」
「に、逃げるわよ!」
逃げようとアリアネルさんがファイヤービッグマウスに背を向けた瞬間、その背中にファイヤーバードとファイヤービックマウスが炎を吐き出した。
急いでアリアネルさんを突き飛ばして避けた。
「ふぅ」
「ありがとう」
アリアネルさんが素直に感謝をするはずがないので、ルナリアさんと警戒していると、突然私の体をガシッと掴んで正面を向かせた。
「は?は!?」
「私の盾になりなさい!貴女は水属性なのだから得意でしょう!」
『ふざけた事抜かすんじゃないわよ!』
ムカつくので無言で振り払って魔法を唱えた。
「レイン」
魔法で出した雨がファイヤーバードとファイヤービッグマウスにかかってただの濡れ鼠と濡れ鳥にした。
「ちょっと!濡れたじゃない!どうしてくれるのよ!」
足手纏いは黙っていろ!という訴えを頑張って飲み込んで魔法を維持する。
「タイプ2魔物喰いの種」
アリアネルさんが種を魔物に向かって放り投げると、急成長して魔物を包み込んだ。
しばらく様子を見ていると、突然ボォォォという音がしてアリアネルさんの木が真っ黒の炭になった。
中からは完全に火を纏ったファイヤーバードとファイヤービッグマウスが出て来た。
ビックマウスは食べる事ができたけど、ファイヤーバードとファイヤービッグマウスは効かないばかりか燃料にされてしまった。
アリアネルさんと顔を見合わせた。
「ルナ!全力で守りなさい!絶対よ!」
* * * * *
思い返してみると、今日も迷子になったし一昨日も迷子になったし迷子になりすぎだなぁ。
もしかして方向音痴なのかな?いや、アリアネルさんが方向音痴なんだよね。
うん。そうだよ。そういうことにしよう。
「アクア・ショット」
「良し!死んだわ!早く服を乾かしなさい!」
「アクア・ドライ×2」
ん〜ムカつく。
『そのまま風邪ひきなさい!あ、馬鹿は風邪ひかないから無理ね』
「そう言えば、異種族同士では魔物でも交尾しないわよね。それも幻影の効果かしら」
「ええ」
良し!言えた!
「かなり厄介ね。それに加えて邪神の力まで有るなんて」
「他に大罪を犯しているみたいだ・・・もの」
『良く言えました』
(ありがとう)
「そうよね。早く捕まえてもらいたいものだわ」
「は、ええ」
危なかった〜はいって言いそうになった〜。
『頑張りましょう♪』
(精進します〜)
「早くみんなに合流しましょう」
「・・・ええ」
危なかった〜ギリギリセーフ!
「あら?さっきから同じところを回っている気がするわ」
「回ってる・・・わね」
そんな気がした。決して、分からなかったわけではない。
「地面に印をつけても風で消えていくわ。どうしましょう」
『喜びなさい。歴とした方向音痴よ』
(それだけは無い)
『どうかしらね』
「何してんだお前ら」
「「こいつが方向音痴なの!」」
「はぁ?」
(あ〜助かった〜あそこでウォルさんが来なかったら一生迷ってたかも。)
『はぁ』
(良く考えたら、この体はルナリアさんのだから方向音痴なのはルナリアさんでは?)
『それだけは無い』
「で、迷子になったと」
「ルナリアのせいよ」
「アリアネル・・・のせい」
「今、暴言を吐こうとしたわね」
「妄想よ」
「あ゛」
「お前ら迷子放送が流れなかったら一生迷子になってたぞ」
「「迷子放送?」」
「ああ。確か、アレキサンドライト領にお住まいのルナリア・アレキサンドライトさん、フローライト領にお住まいのアリアネル・フローライトさんが迷子になっています。至急、保護者の方に迎えにいってくださいってさ」
『迷子放送流れてたのね』
(一生の屈辱・・・)
「ルナリアが先なんて可笑しいわ!」
「着眼点そこか?」




