人魚姫候補の依頼2
「お薬ってこれ?」
「はい・・・」
「そのまま飲めば良いの?」
「はい・・・。それと、飲んだらすぐに体が水に適応しますのでご注意を・・・。持続時間は六時間です・・・」
「サンダルは履いて行った方がいいかしら」
「足が怪我するかもしれないもんね」
「履いたほうがいいと思います・・・」
「は〜い」
「行っきま〜す!」
手のひらに乗せていた薬を勢いよく飲み込んだ。
苦っ!
肩まで浸かりながら薬の苦さに悶えていると、途端に息苦しくなり、海に頭を突っ込んだ。
傍目にはすごい奇行に見えるだろうなぁ。
後ろを向いてみんなが薬を飲むのを待っていると、鱗が見えた。
何?もしかしてフラウ?
あ、エメラとラチナが入った。ヘリオとペリドも。
《皆さん聴こえてますか?》
ん?念話?
《ここの中で喋れば返事できますよ》
え〜と、確かこうしてこうして・・・。
《聞こえてるよ〜》
《ルナさんは聴こえてますね。他の皆さんは聴こえますか?》
四人とも大丈夫かなぁ。点呼をしている間に着きそうだけど。
《こ、こうかしら?》
《良かったです。エメラさんも出来ましたか》
《た、助けてくれ!ラチナが溺れそうなんだ!》
《助けに行きますね!》
列の真ん中にいたフラウが抜け出して、私が一時的に真ん中になる。
が、横が気になるので、少しはみ出てラチナの方を見る。
ついでにペリドもラチナを見る。
おぉぅ、水泳教室が開かれてる。
ふむふむ。足の動かし方がおかしかったから溺れてたと。
この水泳教室、すごく為になるね。
《おぉ、溺れない》
《ラチナさんも出来ましたね。ペリドさんは大丈夫ですか?》
《問題ないぞ!》
《良かったです。あ、王宮が見えてきましたよ!》
眩しっ。
暗闇になれていた眼が急に光に照らされて、一瞬目が眩む。
が、再び目を開けると、豪華な城が待ち構えていた。
リアル竜宮城!
この隙にあまり見えなかったフラウを見ておこっと。
ふむ。さっきの服に人魚の足が生えただけだね。
マーメイドによくある、上半身は貝殻のブラを付けただけを想像してたのに・・・。
でも、よく考えたらただの変質者だね。
《皆さん、王宮門で受付をしているので、そこに行きましょう》
フラウが掛け声と共に、グンとスピードを上げた。手を繋いでいる私たちは為す術もなく、引っ張られる。
《腕がもげる〜》
《念話をする余裕があるなら大丈夫です》
《そんな〜》
《着きましたよ!》
《今日ほど無属性魔法があったことを感謝した日はない》
《無理、疲れた、休憩させて!》
《受付を済ませたら休憩所にご案内しますので、頑張ってください》
《頑張るわ・・・》
ん〜予想よりもエメラがモヤシ。まぁ、しょうがないか。
《これから、魚人族の言葉で話します。心構えをしておいてください》
「#%€$#%€$$*#€#$%€%*€$€€$€$%%%*%#^^*」
「&&¥¥¥#%%%」
「&¥&¥%#%%#%*^^」
「&¥&¥¥&¥#%*#%*##€$$€#%%#^^」
い、一ミリも分かんない。一ミリなら分かると思ったのに・・・。
念話はフラウを介さないと発動しないし・・・暇だなぁ。
《終わりましたよ。休憩所に向かいましょう》
《早く行きましょう!》
《はい》
休憩所に着いた。
《座るって良いわね》
《ね〜》
《三十分ほど休憩したら訓練所に向かいましょう》
《訓練所?水の中の?》
《水の中ですが、中に水はありません。そこには真水も置いてあるので、そこで水を飲んでください》
《そういえば水を飲んでいないわね》
《王宮庭園は水の中なんでしょ?水がないところで訓練をしても意味がないんじゃない?》
《いえ、応急庭園に水はありません。なので、別の種族、つまり陸の種族と組まないといけないのです》
《へ〜》
《そうなのね》
《休憩時間終了です。行きますよ》
《は〜い》
《もう少し居たかった・・・》
訓練所の入り口にはドアが無く、代わりにウォーターカーテンが出来ていた。
《皆さんはまだ、薬の効果が続いているので、水を纏って入ってもらいます。皆さんの中で水属性魔法を使える方はいらっしゃいますか?》
《は〜い》
《良かったです。訓練所に入った瞬間に顔の周りに纏わせてください》
《了解〜》
《私はやらなくて結構です》
魔法をかけるために後ろにまわる。
先頭のフラウが入ってエメラが入った瞬間、魔法を発動させた。
その後に入った、ラチナとヘリオとペリドにもかけ、最後に自分にかけた。
「・・・ルナさん、水属性魔法が使えるなら指南してくれませんか・・・?」
「良いよ!」
「まず、」
「ちょっと待ちなさい、先に水分補給をして」
「あ、確かに」
「私たちはあっちで水分補給をしているから」
「は〜い」
「アクア・ボール」
ビー玉くらいのサイズの水球を生成して口の中に入れた。
「ん〜美味しい」
「すごい魔力操作ですね・・・!」
「えっへん」
「じゃあ、水魔法を見てください「アクア・ドルフィン」
フラウの周りに水でできたイルカが生成され、周りを一回りすると形が崩れて一瞬弾けると地面に落ちた。
「あらら」
「こうなるんです・・・」
そもそも私がそれを出来るかも分からないんだよなぁ。
「アクア・ドルフィン」
出来た。フラウよりも二回り小さいのが。
とりあえず、周りを一周させた。
「どうやったら形が保てるのですか・・・?」
「魔力が少ないか、集中力がないとそうなるらしいけど・・・」
「魔力は平均より上なので・・・」
「じゃあ集中力だね」
「集中力ですか・・・」
「フラウは弾けさせたいんでしょ?なら形はイルカじゃなくても良いから、一回ボールの形にして浮かべさせてみたら?」
「分かりました。頑張ります!」
「五分持ちました!」
「良かったね〜それじゃあ、それを二個に増やしてみよう!」
「確かに大量に浮かべれば牽制にもなりますね!」
「うんうん」
「五個で二分持ちました!」
「良かったね!」
「あ、そろそろ帰りましょう・・・」
「もうそんな時間?」
「はい・・・」




