ガーネット辺境伯の依頼4
アナベルさんに昨日のことを話したら館の中にある図書館の利用許可を貰うことができた。
黒い狼がいなければ騎士団は間引きできると思って今日は一日中図書館に篭ることにする。
「黒い狼で出てこないなら毒魔法の狼は・・・」
「ラチナ?休憩時間なの?」
「これ以上は知恵熱が出る」
「何を見ているの?」
「魔法アイテム大全集。この獣の気配を遮断する笛とか浪漫がいっぱい」
「懐かしいわね。私もよく読んでいたわ」
「毒魔法の狼!これだ!」
「ん?」
「みんな!来て!黒くはないけど、近いの見つけた!」
「このポイズンウルフって奴!」
「毒を使う召喚獣?」
「うん!頭が潰れる様な衝撃の頭痛を引き起こす毒を吐くんだって!」
「確かに毒の効果はそうね」
「黒色なのは何でだろ?」
「ペリドがそんな感じの狼が出てくる本を読んでいた様な・・・持ってくるな」
しばらくすると、ゴンッという音が聞こえた後、ヘリオが戻ってきた。
「さっきの音って何?」
「ヘリオが枕にしていたから引っ張ってきたんだ」
「そうなんだ」
「その絵本って黒き狼とそのご主人の物語?」
「そうだ」
黒き狼とご主人様?ルナリアさんの記憶にはないから平民の中だけで広まってるのかな?
「確かに黒き狼と見た目はそっくりだったわね」
「確か、業火が燃える様な赤い瞳に、闇と同化しそうな真っ黒の体」
「そう!そんな感じの描写よ!」
「確かに黒い狼の見た目はそんな感じだね」
「でも、黒き狼の見た目をした毒を使う狼なんて居なかったわよ」
「・・・あ」
「どうしたの?」
「召喚獣同士を混ぜて一つの召喚獣の見た目に一つの召喚獣の能力を使う召喚獣を生み出す魔法がある」
「確かに黒き狼とポイズンウルフを混ぜたら黒い狼になるわね」
「そんな魔法なんて聞いたこともないけど」
「禁術だから。それに普通の召喚獣の方が便利な時の方が多い」
「何で?」
「まず、召喚できる魔物の数がランダム。それから、召喚者は魔物を召喚して倒されるまでの間は姿を見せてはいけない」
「姿を見せてはいけない?」
「見られたら召喚者が召喚獣に襲われるらしい」
姿を見せなかった人を絞ろうとしても多いんだよなぁ。
「その魔法って召喚して後は召喚者はどこにいても良いの?」
「そういう制限は知らないから無いと思う?」
「そっかぁ」
「騎士団全員が最初は黒い狼を認識できなかったのは何でだろ」
「確かにそうね」
「黒き狼にもポイズンウルフにもそんな能力はない筈よ」
「・・・私が読んでいた魔法アイテム大全集に載ってる獣の気配を遮断する笛なら出来る」
「そういえば読んでいたわね」
「笛だとすると、騎士団長さんが第一容疑者になるよ?」
「別に召喚後に人から聞こえないくらいに距離を取って吹けば誰でもできる」
「そうね」
「この話を全部紙に書いておこ!」
「誰が書く?」
「字が汚いからパス」
「俺も」
「私はルナが良いと思うわ。字が上手そうな雰囲気があるから」
「押し付けたいからって変なこと言わないでよ」
「否定しなかったからルナがやってくれるのね。ありがとう」
「やるっていってない!」
「沈黙は肯定よ」
「沈黙してもいないけど」
「とりあえずよろしく」
「え〜」
「神って誰か持ってる?」
「この前収納に突っ込んだ気がする・・・あった!」
「じゃあ書いて」
「は〜い」
「書き終わった!」
「良かったわね〜」
「収納しておくね!」
「他の誰かに見せないのか?」
「お昼ご飯だから食べに行かないと!」
「そうだったな」
「それに、誰が信用できるか分からないものね」
「ガーネット辺境伯令嬢は信用して良いよ!」
「根拠は?」
「なんとなく!」
「はぁ」
実際ルナリアさんの記憶を覗いても頼れる姐御的なところしか分からないからね。
「孔雀のお肉美味しかったー!」
「ここのお肉は美味しいわよね」
「うん!」
「ガーネット辺境伯令嬢の面会許可ってどうすれば取れる?」
「流石にそのままで向かないほうがいいよね?」
「多分」
「こういうのは秘書さんに頼むとしても秘書さんは紹介されてないし、騎士団はいつもどこにいるか分からないし」
「そもそも、部屋がわからないし」
「とりあえず、騎士団探すか!」
「ええ」
「居た〜」
「あれ?何しにきたんだい?」
「辺境伯令嬢に黒い狼の追加報告したいから言伝を頼めないかなって思って」
「言伝じゃなくてお嬢様の部屋に案内してあげるよ」
「「「「ありがとう!(ございます!)」」」」
セキュリティが緩いね。ありがたいけど。
扉の前に来ると、騎士団長がノックをした。
「お嬢様、ユヴェーレンの方から追加報告があるそうです」
「入ってちょうだい」
騎士団長の後ろから部屋に入る。
事前に押し付けておいたエメラに報告してもらう。
「ーという事です」
「なるほど。その情報は信用できるの?」
やっぱり!アナベルさんならそういうと思った!
「勿論です。図書館にある資料をお見せしましょうか?」
「図書館にあるのね?」
「はい」
「なら、図書館に行くわ」
アナベルさんはそう言うと、扉を開けて出て行ってしまった。
「え」
「追いかけますよ」
「はい!」
急いで追いかけた。
「資料を出してちょうだい」
「はい!」
アナベルさんの近くにある机に「黒き狼とそのご主人の物語」を置く。
ポイズンウルフが載っている「狼型の魔物図鑑」を置く。
「魔物アイテム大全集」を置く。
「なるほど。確かにこれなら信用できるわね。こちらからも調査しておくわ」
「「「「「はい!」」」」」
ブックマークありがとうございます(*´ω`*)




