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Ⅱ戦いはこれからだ

 俺たちの戦いはこれからだっ!

 

 俺は正式に地球防衛し隊「エルドリー・スター・ヒーローズ」の一員となり、想像通りに赤いマフラーを渡され、徐々にリーダーとされるべく内堀外堀をかためられていった。

 それは、まさに会社の人事異動でお馴染みな、不穏な空気と押し付け合いみたいなものだ。


「お前には資質がある」タカシ


「俺はこの日が来るのを待っていた。頼むぜリーダー」ケンジ


「あなたがやらなきゃ誰がやるの」椿


「イマサラ、オヤノ、ナナヒカリ、デスカー」マリア


「とにかく、がんばりんしゃい」タケシ


 ムリクリ、リーダーとなった俺は、日々、仲間たちと人類の敵と戦い続けた。

 そんな訳で、お話では中盤あたり、特撮でも20話くらいに挿し込まれそうな事件が

起きたのだった。


 タカシが、汗まみれで臭くなった緑のマフラーをクリーニング屋へと持っていた時のことだった。

 そこはよりによって、敵の将軍ゲングルのアジトであった。

 あえなくタカシは捕縛され、俺達はアイツを救出する為に奪還作戦を敢行することとなった。


 敵のアジト、山中クリーニングは、俺達の基地よりほど近く閑静な住宅街にあった。

 そんなの関係ねぇとばかりに、俺達はマシンに乗り込んだ。

 俺のマシンは真っ赤な原チャリ、レッド・カブ号、大幅な改造により法定速度はゆうに

こえ、時速200㎞、ボディの左右にはウージーマシンガンを内蔵するイカれた仕様となっている。

 続いてブルーことケンジは、おどろくほど真っ青な軽トラに乗っている。荷台には幌がしてあり、中には日本では御法度なやべぇ武器たちが隠されてある。

 ホワイト、椿は、あの峰不二子の愛用マシン、真っ白のハーレーのソフテイルだ。ただし必ず安全運転を心がける彼女は法定速度をかたくなに守っている。

 イエロー、タケシとピンクマリアは、黄色とピンクに縦半分に色分けされたキャンピングカーに乗っている。そう、大量の食糧の備蓄があるのだ。

 そして、タカシのグリーン・クルーザー、今回は海じゃないので別になのだが・・・。

 これらのマシンが合体して巨大ロボ、オジーオバーSUNとなるのだ。

 どうやって合体するのかって・・・それは・・・極秘事項に触れるので秘密だ。


 俺たちは狭い道に、それらのマシンを停めた。

 すると、すぐにパトカーが来た。不法駐車でキップを切る為に・・・。

 俺はすっとエルドリー・スター・ヒーローズの手帳を見せた。

「ヒーロー屋か」

 明らかに警官はさげずんで言った。

「ああ、地球を揺るがす大事件だ」

 だが、俺は火急の用を告げた。

「はん。いい身分だな。だが、ここは駐車禁止なんだ。分かっているだろ」

「今は許せ。有事だ」

 ケンジが間に入る。

「有事だろうが、何だろうが、犯罪は犯罪だ」

「ナニイッテモ、ダメネー」

「国家権力には融通のきかん奴等ばっかりたい」

 と、嘆く夫妻。

 すると、後からのろのろとやって来た椿が、

「えーい」

 と、ハーレーで警官たちをゆっくりと轢いた。

「安心してね。峰打ちよ」

「ホントかな」

 結構、ガッツリ轢いて警官二人は転げ回っている。

「そんなことより行くぞ」

 ケンジは走りだした。

(そんなこと・・・かな)

 俺は一抹の疑問を感じながらも後へ続いた。


 クリーニング屋に突入すると、そこはもぬけの殻だった。

 しかし、椿が地下室への入口を見つける。

「ここよ。ここっ!」

 と、鬼の首をとったかの形相で言う彼女に、俺はちょっとだけ引いた・・・いや、こんな年になっても、感情剥き出しになれるということは素敵なことなんだともちらりと思った・・・おっと、そんな場合ではないな。


 俺たちは真っすぐの一方通行のルートを駆けた。

 ベリル・ビーストの戦闘員たちが次々と襲いかかって来る。

 しかし律儀に一人ずつやって来るので、めっちゃ倒しやすかった。

 大挙してかかるとか挟撃するとか・・・戦い方あるだろう。

 お前等、やる気あんのかと言いたいよ・・・全く。

 難なく最奥の部屋まで辿りついた俺たちは、よくあるある光景を目にする。

 いかにもというベリル・ビーストの社標のようなマークに、赤薄暗い部屋そして、タカシの首根っこをおさえ人質に取る将軍ゲングル・・・子どもの頃、特撮でみたなあと実に感慨深い気持ちとなった・・・イカン、イカン、タカシを救出せねばっ!


「よくぞここまで辿り着いた」

 ゲングルはいかにも中ボス風を吹かせて大げさに言う。

「グリーンを離せっ!」

 ここは場慣れしているケンジが応戦する。

「馬鹿め。飛んで火にいる夏の虫とは、まさにお前たちのことだ」

 ベリルはそう言うと、タカシを蹴り上げ俺達へと返上し、高らかに笑う。

「ふははははははははっ!ここがお前たちの墓場だ。今からここを密室にし毒ガスを噴出する。さらばだっ!おっさん、おばさんずヒーローどもよ」

 ゲングルはいかにもな将軍マントを翻し、その場を去ると部屋は遮断された。

 次の瞬間、白いガスがぷしゅーと充満してくる。

 特撮物でよく観たアリアリのアリだ。


「タカシ無事か」俺。

「すまない皆、俺、ヘマやっちまった」タカシ。

「なんで、よりによって命より大事なマフラーをクリーニングなんかに」椿。

(へ、そうなの)心の中で思う俺。

「あまりの臭さと、色褪せが耐えられなかったんだ」タカシ。

「我慢しろ」ケンジ。

「ファブッチャイナ」マリア。

「匂いもまた一周過ぎれば乙たい」タケシ。

「そんなことより、このままじゃ・・・」

 俺は我にかえって皆に伝える。


「諦めるな」ケンジ。

「諦めたらそこで終わり」タカシ。

「安西せんせー」タケシ。

「スラダンね」俺。

「1st、ダーリントミタネ」マリア。

「あなただけを見つめている」椿。

 俺は椿の熱視線を感じた。


「そんなことより」俺。

「そんなことって酷いっ!」激昂する椿。

「いやいや、そうじゃなくて」俺。

「違う、違う、そうじゃ、そうじゃなーいってか」タカシ。

「ジェネレーションギャップデース」マリア。

「いい加減にしんしゃい」タカシ。

「そうだな。そろそろ脱出しよう」ケンジ。


「おうっ!」タカシ、椿、タケシ、マリア。

(へ?)

「無線で呼びかけるんだ。オジーオバーSUNカモンヌっ!」ケンジ。

「カモンヌっ!」続けてタカシ、椿、タケシ、マリア。

「・・・かもんぬっ・・・だけど、敵だって馬鹿じゃない通信なんて出来る・・・訳」と俺。

 

 それはものの3秒だった。

 オジーオバーSUNロボのメガドンパンチが壁を突き抜けてきた。

 アッチョンブリケ。

「リーダーっ!」

 仲間たちが号令を待っている。

 そうだな、こういうときは、いろいろ考えるのはナシだ。

「サン・フェード・インっ!」

 俺のかけ声に、

「GOっ!オジーオバーSUN」

 皆が応じる。

 6人の心が今一つとなり、俺達はロボへ吸い込まれる。

 どうやって?・・・だと・・・考えるな感じろっ。


 オジーオバーSUNが立ち上がると、ゲングル将軍は巨大化して待ち構えていた。

 これもまたお約束。


「敵、ベリル・ビースト・ロボタイプS特化型、ゲングル将軍パンダ獣です」

 椿は解析した。


「クソ、カワイスギデス」マリア。

「じゃどっもん。敵の姿にだまされたらいけん」タケシ。

「どうする?」タカシ

「どうするの?あたしたち」椿。

「リーダー」ケンジ。

「決まっているだろ。俺たちはヒーローだ。立ち向かう敵はすべて倒すっ!」俺。

「ラジャーっ!」

 皆は了解する。


 すらりとオジーオバーSUNは大剣を抜く。

「sunsun SUNソードっ!」

 夕陽を背に互いに駆けだす2体のロボシルエット。

 俺たちは叫ぶ。

「俺達の戦いはこれからだ」

 と。


 劇終


 


 堂々打ち切り風完結っ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 懐かしさがこみ上げてきて、爆笑しっぱなしで読みました!楽しいひと時を、本当にありがとうございました♪ [一言] そう言えばハーレーのってる方ってわりと安全運転ばっかりだわ!?と、ハッといた…
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