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 天と地のはざま、無限と有限の理の境地で二つの魂が一つの炎に手を伸ばしていた。

 荒れ狂う暴風は形もなく威力もなく、ただ他のものを排除せんとする意思の下に顕現している。

 光の洪水の中で魂が叫びを上げた。

「よせ! そなた、自分が何をしているのが分かっておるのか!」

 かつて炎とともにあったその魂は、今必死に手を伸ばして他方に奪われるのを阻止しようとしていた。

「そんなことをすれば、お主もただでは済まん!」

「悪いな、アバンシュ! だが俺はもう、自分を抑えきれない! この俺の怒りを! 憎しみを、悲しみを!」

「よせ、よせ!」

 今若き魂が炎を掴み取り、その力を我が物とした。彼と共にあった命ははるかな高みから堕ちる飛獣のように、空から追放された神のように、栄光を過去のものとされた英雄のように……その目が炎を彼方に見失うまで、すでに決して届かないものと決まった腕を伸ばしていた。

 炎は今新たな魂を薪とし、業火を孕む。ほとばしる力の奔流は何人にも抑えられず、無惨に灼かれる定めだけが残された。

「素晴らしい、素晴らしい力だ! は、ハハハ! 見ていろ、エーテルの化け物ども! 貴様らに踏み潰された我がふるさとの無念、我が哀惜とその礼を、命でもって受け取るがいい!」

 炎は波となって海となり、全てを平らげる。やがてそれは宇宙を満たし、かつて世界だった場所を悠久の光へと還したーー。

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