警報
確かに見た目は人だ。だが、魔力の質が違う。いや、人特有の魔力の質も含んではいる。だが、纏っている魔力は、大部分が人以外のものだ。例えるならば、チェックと縞模様と水玉とストライプをごちゃ混ぜにしたような模様のTシャツを着ている様な感じ。その異様な様に、俺の五感が警報を鳴らす、この少女は危険だと。こいつがいたから他の魔物は俺に気が付かないふりをしていたんだ。
「魔力を見ちゃったんだね?そんなに警戒しないでよ。私だって好きでこんな魔力しているわけじゃないんだから。あと君は私がこの迷宮に閉じ込められて初めてあった会話のできる生き物なんだよ?殺して食べるなんてとても退屈でしょ?」
迷宮に閉じ込められてるってなんの冗談だよ。そんな都合のいいことあるかよ。
「さては疑ってるね?ついて来て。というかついて来ないと死んじゃうよ?魔物に殺されるのと、私とお話しするの、どっちがいい?」
痛いところを突かれた。確かにこの少女がいなければ俺の死は確定する。逆にこの少女についていけば、死なない可能性もある。そう、生き残ることを考えるうえで、俺に彼女について行かないという選択肢はない。
fjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfjfj
そうしてついて行って、少女が立ち止まったのは扉の前だった。少女が中に入る。俺も遅れないようにささっと入る。
「私ね、ずっとここに閉じ込められてたんだ。やっと封印が解けてさ。部屋の外に出られたんだけど、出口はわからないし、話し相手もいなくて暇で暇でしょうがないの。」
部屋の真ん中には、効果が停止した封印魔法陣があった。それを見て驚いた俺は思わずきいてしまう。
「き、君は…君は一体なんなんだ?」
「んー、リリアーナ。そう呼ばれてた。」
違う。俺が聞きたいのはそこじゃない。それを察したのか彼女は
「あ、聞きたかったのは私の名前じゃなくて種族のこと?本当はこの種族のこと言うの好きじゃないんだけど特別に教えてあげる。」
そこで彼女は言葉を区切り、目を閉じた。そして、次に目を開けた時、彼女の目は真っ赤に染まっていた。さらに額から小さな角が生え、少しだけ尖った耳を金髪の髪をかきあげて見せつけるようにし、背中についた鳥の翼一対とコウモリの翼一対合計二対の翼を広げて言い放った。
「私は混沌種。全ての種族の特性を持った…………いわば嫌われ種族。」