天使か悪魔かはたまた化け物か
ポイッ、カラン、よし!ステステ
ポイッ、カラン、よし!ステステ
ポイッ、カラン、よし!ステステ
ポイッ、カラン、よし!ステステ
「一体何回この作業を繰り返しただろう。ここが遺跡の層ではなく、ただの洞窟の層だと分かったが、何層かに一回ずつ洞窟の層は来るから一体ここが第何階層なのかわからない。それはつまり、何が起こるか分からないということだ。いちいちこうやって罠の確認とモンスターの注意を逸らすために、小石を拾っては投げ、安全確認をしながら進んでる。進む速度がとてもも遅くなる。そして、さっき運よく気づかれずにモンスターの戦闘を見ることができたのだが、速すぎて目で追えなかった。中村君の剣の動きも目で追うことが俺の視力でも追えず、気がつけば二頭のうち一頭が頭を砕かれ、あちこち食われた状態で道の先に放置されていた。一応、安全そうなところで持ち物の鉄を使って今作れる最高傑作の軽鎧と護身用の剣を作って進んでいるのだが、こんなの奴らの前では『最高傑作』も紙っぺら同然だ。フルプレートにしなくてよかった。音を立てた瞬間殺される。足音を立てることすら恐ろしい。こうやって遠くに石を投げて魔物の気を逸らしながら進んでいても、もしかしたら…と考えると恐ろしい。とにかく一休みできる場所を作ろうと思って、壁に鉱物操作を使い壁を変形させようとしたのだが、壁に穴を開けられない。RPGの『迷宮の壁は破壊できない』という観念に似ているのだろう。壁の表面を少し削ることができてもそれ以上のことはできない。どこかに安息の地はないのか⁉︎
そんなものありませんでした。はい。もう、死ぬまで諦めずに進みます。」
「諦めちゃダメ!」
この声はまさか俺の心の中の天使?
「はい、もう死ぬまで諦めません。」
「いや、そうじゃなくて、」
「うるさいなぁ、僕の中の天使!少し黙ってろ!」
「え?『俺の天使』ってもしかして私のことですか?嫌だなぁ、口説くのが上手いんだから」
「?はて、どうなっているんだ?俺の心の声ってこんなに自己主張激しかったか?」
「もしも〜し、心の声漏れてますよ〜?」
「は?」
え?は?なんだそういうことか。俺独り言ずっと言ってたんだ、ふーん。だからこいつは反応できたのか。ん?待て待て。つまり俺ずっと声出してたってことだろ?じゃあ、何で魔物は襲って来なかったんだ?というか、ここに人がいるなら話が早い。この層について何か知っているかも知れない。
「もしも〜し、そろそろ帰ってきてくださ〜い。」
ちょうど向こうから話しかけてくれた。
「はい、まず君はだr__」
言いながら振り返ると、そこには人のような、何かがいた。