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人に召喚されたけど、人類助けなくていいですよね?  作者: 玉崎蓮
第一章 迷宮攻略編
4/39

初めての…………

お久しぶりです。玉崎です。遅くなってしまい申し訳ないです。今回から毎週投稿にできるように頑張ります。

さて、時間は少し遡る。俺は他の奴らと一緒にダンジョンに入った……


 ダンジョンに入った瞬間空気が変わった。少し大きめの洞窟で、街とは扉すら隔てていないはずなのに、急に空気が冷たくなり、血と獣の匂いが強まり、街の喧騒が聞こえなくなり、代わりに他の冒険者がモンスターと戦う騒音が大きくなった。


「これから、召喚者諸君には、モンスターを倒しながら迷宮を攻略していってもらう。目標は10階層だ!そこから先は、帰ってきた者がいないため、情報がなく死の危険性が高い。絶対に先に進もうとするなよ!10階層には、ボスがいるからすぐわかるはずだ。我々騎士団も陰から見守り、何かあれば援護はするが、基本的に自分の力で進め。以上!」


「「「「「「「はい!」」」」」」」


そうして俺らの迷宮攻略が始まった。それぞれの階層ごとに思い出していこう。



第一層


そこは、普通の洞窟のバイオームだった。しばらく迷宮を探索しながら進む。そして、ついに初めての魔物と遭遇した。


「グルルルル…」


そいつはコボルトだった。見た目は普通の狼だ。……動物園にいるのとほとんど変わらない姿だった。


「………」


誰もモンスターに攻撃できなかった。平和な日本で道徳の行き届いた高校生に哺乳類なんて殺せるはずがない。どうしてもかわいそうだと思ってしまう。


「くっ!」


コボルトの突進は、中村の腹にヒットした。ダメージが入ったはずだが中村はびくともしない。そしていきなりコボルトの首が胴を離れた。鈴木くんのナイフだった。いまだに彼のことを認識できない。「気配遮断」って恐ろしい。赤い血が噴き出て、コボルトの胴体は地面に倒れ頭は宙を待ってから地面に落ちた。しばらくすると切られた部位からコボルトは消滅し始め、胴体のあった部分から赤い宝石のようなものが出てきた。その宝石が、まるで俺たちのことを恨んでいるようで、怖気が走った。


「オエエェ」


中村が吐いた。そりゃ、コボルトの目の前にいたからね。血を全身に浴びただろうしコボルトの内側もきっと見えちゃったんだろう。中村だけじゃなくて、他のやつも気分が悪そうだ。顔が真っ青だ。俺も胃の中身を吐き出しそうだ。俺たちは「生き物を殺すこと」を甘く見ていたのだ。訓練で「殺し方」は習った。でも、訓練でも人を殺すことはしなかった。初めての「殺し」。それは俺たちの心に深く刺さった。殺したのは中島だとしても、俺が殺すことはないにしても、目の前で狼が死んだ、その事実が恐怖が生んでしまう。しかも「殺し」をしなければ俺らが殺される。そんなことを考えて足を止めていたから、いつの間にかコボルトに囲まれていた。


「一人、三匹だね…」


恭介が呻きながら言った。まず動いたのは鈴木くんだ。「一度殺ってしまった」という諦めの境地だ。サクッと一匹の首をはねた。

次に恭介が動く。火球を生み出して三匹を焼ききってしまった。


「燃やせば罪悪感は薄い…」


ぼそっと呟いていた。火を自由に生み出せるって羨ましいな。



「はあぁ!」


と叫んで中村くんは目を瞑りながらコボルトを一気に三匹切り捨てた。こういう見なくても攻撃を当てられるのは、英雄特権なんだろうな。

斉藤くんは


「目を瞑ればなんとか…」


と言いながら二匹のコボルトを横から貫いた。

結衣はためらいながらも矢を三本つがえて射撃のスキルで同時に射抜いた。

白川さんは戸惑いながらも一匹だけ倒した。

残りは鈴木くんがサクッと殺ってのけた。ここからがおれの仕事だ。みんなの武器の耐久値を確認して、耐久値が大きく減っていないか確認する。中島君のナイフを研ぐだけで良さそうだ。こびり付いた血をできるだけ見ないようにしながらタオルで拭き取り、持ってきた砥石でナイフを研いだ。これで耐久値も大丈夫そうだ。

俺たちの間の空気が重くなる。それ以降も、襲ってきたコボルトを最低限必要な数だけ殺しながら進んだ。正直メチャクチャ気持ち悪かった。そしてついに、二層への階段を発見した。慎重に降りて行った。

誤字脱字、内容不鮮明な箇所がございましたらご連絡ください。わざとやっている部分でなければ修正します。

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