魔物とは?
お久しぶりです。
「ヒナ!ごめん、もう入ってきていいよ!反対側まで行こう!」
そう叫んだ瞬間、トレントが堰を切ったように押し寄せてくる。ただ、少しヒナの到着の方が早かった。そのまま彼女の翼で反対側まで行く。
やつらの巣から出た瞬間、トレントは追いかけるのをやめた。__まるでそこに壁があるかのように。こいつら、この層のボスだっていうオチはないよね?まあ、いっか。こっちで魔物を狩ろう。ヒナに降ろしてもらいながらあることに気がつく。『あれ?よく考えたらモンスターから肉って取れなかったような?』そうだ!完全に忘れてた!モンスターって、最後の一撃が入った場所から消えてくんだ!あれ?でもそしたら何でモンスターの皮は持ってこられたんだ?
「ヒナ、モンスターの皮、どうやって持ってきたの?」
「え?普通にだけど?」
もしかして、速すぎて消滅より前に持ってこられたのか?いや、でも普通にモンスター同士が殺し合っても死体が消えない。じゃあヒナはモンs__考えるのやめた。聞いてみるか。
「ヒナ、剥ぎ取るのに時間かけた?」
「慣れてなかったから1分くらい掛かっちゃったよ。」
「……」
「え?私また何かやっちゃいました?」
「ヒナ、普通モンスターは倒されると消えちゃうんだ。」
「どういうこと?」
「ほら、ちょっと見てて。」
そう言って、ちょうど近くに来た少し大きめのハチ型モンスターに投げナイフを投げる。
惜しい。あと数センチ。もっかい!よし、今度は当たった。こっちに気づいて襲ってくる。俺は、作っていたナイフでハチの首を切り落とす。この層のハチはなぜか弱い。おそらく、花粉を運ぶためだけにいるんじゃないか?まあいい。少し待てばハチは消えるはず…
〜3分後〜
消えない。え、あれ?どうして?王城でというか騎士団で訓練を受けていた時に本で読んだよ?どんな魔物であれ、死ねば確実に灰になって魔石だけが残るって。でも目の前の魔物が灰にならない。明らかにおかしい。もしかして、この層と一個前の層の魔物だと持ってた生き物って、全部魔物じゃなかったのか?
「う_」
「大丈夫?」
急に罪悪感が込み上げてくる。くそ、ヒナにこんな醜態を見せて失望させるわけにはいかないのに…
「はあ、はあ、はあ__」
落ち着いてきた。自分が、まだ生き物を殺すことに抵抗を持っている『日本人』だと確認できてよかったかもしれないと一瞬思った。でも、それを確認して安心できてしまう自分が恐ろしいとも思う。俺もこの『殺らなきゃ殺られる』という空気に毒されてきてるのかもな。まあ、この迷宮内では平和ボケしてると死んじゃうから毒されてるなら毒されてるでいいけどね。
と、そんな俺の精神の変化なんかのことは置いておいて、とにかく、レベリングをしよう。