拠点造り
〈鑑定不可〉
なるほど、俺はまだ自分のことを武具だと思っていないらしい。まあ、そう簡単に自分が武具なんだと思えてしまう方がおかしいのかもしれない。え、その論理でいくとヒナもおかしいのでは?ヒナは例外例外。だって遺伝的な問題でしょ?自分の顔が選べないことと同じで、個人の意思ではどうしようもないところなのだ。
……そうったらそうなのだ。
というか、完全に横道に逸れていたけど拠点造りが目標だったよな。とりあえず、上の階層に俺は登れないから、ヒナに頑張ってもらうか。
「ヒナ、ごめん。上の層から木を8本と、さらにその上の層のモンスターから皮をたくさん剥ぎ取ってきてくれない?」
「わかった。帰り道がわからなくなりそうななけどどうするの?」
「これを使って。」
そう言って、俺はヒナに杭と針金をたくさん渡す。
これを、杭に針金を巻きつけて一定間隔で置いていけば、迷子にならないという寸法だ。杭と針金の説明をヒナにすると、目を輝かせて
「ゆうや頭いいね。かっこいい!」
と言われた。やったぜ!
こうしてヒナは上の層に資材を資材を取りに行ってくれた。ここで待ってる間に何かしらのスキルをレベルアップさせないとな。やっぱり、俺の職業的に鍛治系のスキルかな。王国の座学で教わった最高レベルのスキル《魔剣創造》が使えれば、一気に敵を倒せるのだが、今のレベルでできる《属性付与》じゃ『爆発する魔剣』みたいな、異世界召喚やら異世界転生やらで鍛治職の人が使ってたような魔剣は生み出せない。まあ、何はともあれ『炉』がないことには鍛治はできない材料集めのためにほんの少しだけ上の層に行く。と言っても、階段の淵からバケツいっぱいの土を持ってくるだけだ。とりあえず、これで『炉』の材料はそろった。じゃあ、《付与》を使って土の粘度を上げて……
しまった!ゴミを取り除くための水がない!このままじゃ炉の形にできない。飲み水は犠牲にできないし…
結局、ヒナの帰りを待つことにした。
fjfjfj
「ただいま!これでよかった?」
「これで大丈夫。ちょっと待ってて_」
そう言って、俺は自分のバッグからいくつか延べ棒を取り出し《錬成》して、針金と杭を作る。そして、取ってきてもらった木のうち4本を柱として立てて、この針金で取ってきてもらった残りの木を柱の上に地面と並行に結びつける。そしてモンスターの皮に穴を開けて、針金を通し、上から柱に被せる。簡易拠点の完成だ。いわゆる『陣』の形。ただし、布は上に梁みたいにかけた木から垂らしたカーテンみたいな構造にした。こうすることで四方を覆いつつ、出入りに不便が出ない。
「よし、簡易拠点の完成だ。これからしばらくは、上の層のトレント狩りで経験値を稼いでいこう!」
「わかった。明日からも頑張ろうね!」