小休止
さすがに、怒られそうなので来週分も投稿しておく。(と言って来週さぼるわけじゃないので安心してほしい)
「さあ、ボス戦だ!」
とはならない。俺らの今の目標は、あくまで、「拠点を作ってレベリングする。」だ。ボス部屋(仮)前のこの空間、拠点作れって言ってるようなもんじゃん!ということで、資材集めをする。ヒナはボスに挑むものだと思っていたらしく、ボス部屋(仮)に走って行こうとしている。
「ヒナ、ちょっと待って!ここに拠点を作ろう!ボスは俺にはまだ早いから、ここに拠点を作って、上の層のモンスターを使ってレベリングをしたい。」
「え?そう?私、強いからゆうやを守りながらでもボスを倒せると思うよ?」
「たしかにそうなんだけど、俺が弱いままじゃ嫌だから。強ければヒナに守られてばかりじゃなくて、ヒナを守ることもできるから。」
「そうなんだ。いつか私を守りたいからレベルをあげておきたいんだね。わかった。じゃあ、拠点を作ろう。」
さて、材料を集めよう。材料は、「トレントじゃない木」がいいな。木なら加工のスキルでどうにかなるし、適度に湿気を吸ってくれるから、拠点作りにちょうど良い素材だ。ただ問題が一つある。そう、トレントの巣だ。あれのせいでこの層と一個前の層の行き来ができないでいる。
「トレントがいなければ……」
「トレントなら問題ないよ。」
「ヒナ、それはどう言うこと?さっきも勝てたわけじゃないんだよ?」
「だって私、さっきレベル上がって《威圧》が《絶望付与》に進化したから。《絶望付与》はね、《精神攻撃耐性》が高レベルであるか、相手が自分よりも高レベルかじゃない限り防ぐことはできないんだって。」
「なんでレベルが上がったってわかったんだ?」
「え?言ってなかったっけ?私が混沌種なこと。」
ヒナが混沌種なのは聞いたが、それと自分のステータスがわかることに何の関係があるのかわからん。そして、それが表情に出ていたのだろう。ヒナが説明してくれた。
「混沌種にはね、ドワーフの血とオーガの血も入ってるんだよ。ドワーフは、《装備鑑定》で武器のステータスを見るでしょ?それで、オーガは自分自身のことも一つの武具として捉えるから、自分のステータスは鑑定できるんだよ。」
実際にあったことはないし調べなかったが、こんなファンタジーな世界にドワーフやオーガがいないわけないよな。でもそれよりもまず、一つだけ気に入らない。
「ヒナには自分のことを道具だと思ってほしくないな。こんなにヒナは可愛らしいのに……」
ヒナが顔を赤らめながら返した。
「ありがとう。嬉しい。」
にしても、俺のステータスがわからないのは不便だ。自分より圧倒的に強いモンスターのいる層、しかも目の前にはボス部屋(仮)がある。いつかは通らないといけないであろうあの部屋。そこにいるであろうボスモンスター。そいつに対抗する上で、自分のステータスがわからないのは不便だ。なんとかステータスを知る方法はないだろうか。
…というか、俺さっきのヒナのやり方で自分のステータスわかるんじゃね?30秒も悩んだ俺が馬鹿だった。なんだ。じゃあ早速、「俺は武器だ」と心の中で連呼しながら《装備鑑定》!
〈鑑定不可〉