チート系ヒロイン
「よろしくね。ゆうや君。」
とびっきりの笑顔で言われる。もう、俺もこの子好きかもしれない。でも一つだけ訂正。
「『君』はつけなくてもいいよ。」
「ほんとに?嬉しい。」
笑顔だ。あ、もうだめ。
「好きだよ。」
「え?」
一瞬理解が追いつかなかったのか困惑とした表情をした後、ヒナの顔が赤くなる。もうまじで可愛い。
「こ、これからどうするの?」
陽菜が照れてるのを隠すように聞く。
「とりあえず、この迷宮を探索して安全に生活できる場所を作って、そこを拠点にしてレベル上げをして迷宮から脱出しよう。」
「ここが拠点じゃダメなの?」
「ヒナの閉じこめられてた場所は流石によくないかなと思って。」
そうして俺たちは迷宮攻略を始めた。しばらく迷宮を歩き回る。ヒナが名前で縛られているからかもしれないが、さっきよりも魔物が襲ってくるようになった。ここはかっこいいところを見せたい。が、戦闘という点に関して言えば俺がやるよりヒナに任せた方が良い。
「えいっ!」
なんとモンスターを渾身のストレートでKOさせる。なんでも、獣人の力を使ったらしい。
「うーん、これは私の種族的な力でね、この世界にいる全ての種族の先天性スキルとか代償なしで使えるんだよね。今のは、獣人族の《身体強化》だね。」
これは、あれだ、某小説投稿サイト御用達のチートキャラですね。ちょっと展開が読めちゃうからあんまり好きではないんだけど、実際に自分の命がかかってるとすごい頼もしい。
と、そんなこんなしてるうちに階段にぶつかった。やっとこの層から脱出できる。だが、全く嬉しくない。なんせ、階段が下に伸びているからだ。
「下向きだね…まぁ、もしかしたら次の層は安全かもしれない。」
ヒナが慰めてくれる。まぁ、魔物の強さとか見る限りここがかなり下の方の層である可能性が高い。なら上に行くより下に行った方が短い、かもしれない。
「そうだね。じゃあ、降りようか。暗くて見えにくいけど、結構急な階段だから気をつけてね。」
「ありがとう。」