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第1話 筋トレ後は、なる早でプロテインを!

真面目に連載するのは初めてで、ストックもなく見切りスタートですので、まったり更新となりますが長い目で暖かく見守っていただけると幸いです。

令和国際大学の体育館の地下にあるトレーニングルームは、本来なら全学生に解放されており誰でも自由に使える空間の筈であった。しかし、実際には一般学生はもとより体育会に所属する運動部員ですら「鬼の棲家」と呼び怖れ近づかない場所となっていた。それは、全く悪気のない鬼達の所業によるものであった。


「フンヌッ!!」

「よし!まだまだ!」

「まだ出せるだろっ!コラッ!」

「そんなもんかオイっ!」

「フンヌッ」

「いけ!出し切れっ!」

「そうだ!まだ行けるぞっ!」

「オイオイオイできるっ!できるぞっ!!」

「フングゥァアアアアアアッ!」

「「「「「おぉおおああおおお!!!!」」」」」


令和国際大レッドデビルズ。関東大学アメフトリーグ1部に所属する彼らは毎年少ない部員数をなんとかやりくりしつつも中堅チームとして長年1部リーグの座を堅持しつつ時には強豪チームにもひと泡ふかせる猛者達であった。

そんなチームの強さの秘訣こそが筋肉!そう!筋肉であった。殆どの部員がアメフト未経験者として入部し人数不足から右も左も分からないままに百戦錬磨のアメフトエリート達と対峙することになるレッドデビルズでは、筋肉を武器として並み居る強豪達に立ち向かうことを伝統としていた。


その中でもボールを触ることがほぼ無い、ただ、ひたすら相手選手とぶつかり、押し合い、なぎ倒すそんなポジションがラインである。そんな彼らの生命線こそが筋肉であり、筋肉こそがラインマンの誇りであるのだ。故に、彼らの筋トレは熾烈を極めた。もちろん、根性論などではない。筋肉を肥大させる為には限界を超えて筋肉を使いその後速やかにに筋肉を作る元となるタンパク質を摂取し超回復することが必要不可欠なのである。その結果、トレーニングルームにこだまする筋肉の鬼達の掛け声、叱咤、激励は常人からは狂気としか思えぬものとなり、学生達の足を遠ざけてしまっていたのだ。


この冬、レッドデビルズは意気軒昂であった。終わったばかりの秋のリーグ戦では史上最高の3位という好成績を残した。そのチームの躍進の原動力となったのが3年生の鬼瓦を筆頭に1、2年生が大活躍したラインチームであった。そして、その筋肉達は来シーズンもチームに残るのである。


毎年、スポーツ推薦などで計画的に戦力補強を出来る強豪校と違い、レッドデビルズの補強は殆どが未経験の新入生勧誘のみに頼る半ば運任せだった。そして、運任せである以上は当たり年と外れ年が生まれてくる。実際、近年のラインチームは外れ年続きだった。今シーズンを4年生1人、3年生1人という体制で戦う羽目になったのがその証左と言えよう。しかし、昨年、今年と幸運にも当たりを続けて引くことができた。3年生の鬼瓦の下には2年生の権田、榎本、1年生の高梨、山田、樺山と充実したメンバーが揃い若いながらも即戦力として活躍し結果を残した。そして、重ねていうがその筋肉達は来シーズンもチームに残るのである。


チーム内外からの期待は否が応でも高まりを見せた。アメフト専門誌に至っては「来シーズンのリーグ最強ラインチーム"赤鬼軍団"」とまで評しているのだ。そんなわけで、最強を自負する筋肉達の鍛錬は今日も妥協なく熾烈で情熱的で激しいものとなっていた。


「よしっ!ラストっ!!!!」

「まだ、だせるぞっ!」

「オゥッフ!!!」

「ウォッフ!!」

「だしきれっ!だしきれぇえええっ!」

「「「「「「しゃぁあああああああ!!!」」」」」」


来たるシーズンに向けて持てる全てを出し切った鍛錬を終えた筋肉達はすぐさまプロテインの摂取に向かう。このタイミングのプロテインこそが何よりも大切なのだ。


と、6人は目を開けていることもかなわないほどの眩ゆい光に包まれた。目の前に見えていた景色が一瞬で真っ白になり、そして暗転した。


目を開けると、そこは森の中だった。6人はお互いを見合わせて何事かと事態を訝しむ。


「ハドルッ!」


いち早く落ち着きを取り戻した鬼瓦の掛け声に他の5人が機敏な動作で応え円陣を組んだ。


「「「「「「トゥッスゥ!!」」」」」」


フットボールマンとしては条件反射のようなものであったが、幾度となくと修羅場を潜り抜けてきたこのルーティンによって6人は幾分か落ち着きを取り戻した。


「とりあえずプロテインどこすかね?」


榎本がぽつりと呟いた。

トゥッスゥ!!と言えばオードリーの春日さんなイメージですが、実はアメフト選手はわりと大真面目に日常的にやってますw

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